「母親」とは? メキシコの鬼才が描く、母娘の闘争劇。

Culture 2018.07.29

母と娘の神話のような対決を、エレガントにくっきりと描出。

『母という名の女』

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光あふれる海辺の別荘地、母代わりの姉と暮らす17歳のヴァレリアは自立前の恋人の子を宿す。そこに、音信不通の母アブリルが来訪。溝のあった母を、子育ての不安から娘が頼る。けれど、束の間の信頼回復は、子を育てる生活力も気構えも欠いた若すぎるふたりから母が赤ん坊を取り上げ、旧姓で養子縁組したことによって砕け散る。メキシコの鬼才による母娘の愛の闘争劇は闇をも突き抜け、神話劇のような晴朗さ。娘の恋人まで誘惑する母の業の深さは底なしだが、あくまで大人の女の魅惑と優雅さを失わない。母との対決を通し、娘も覚悟が決まるのだ。

『母という名の女』
監督・脚本/ミシェル・フランコ
2017年、メキシコ映画 103分
配給/彩プロ
ユーロスペースほか全国にて公開中
http://hahatoiuna.ayapro.ne.jp

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*「フィガロジャポン」2018年8月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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