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胎児の視点から語られる『ハムレット』とは?

特集

胎児を語り手にした、マキューアン版ハムレット。

『憂鬱な10か月』

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イアン・マキューアン著 村松潔訳 新潮社刊 ¥1,944

希代のストーリーテラーが選んだ本作の語り手は胎児である。「というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる」という冒頭の一節から、ただならぬ小説が幕を開ける。仄暗い胎内に幽閉されている「わたし」は母親とその愛人が共謀して、父親を毒殺しようとしていることを知る。「生まれるべきか、生まれざるべきか、それが疑問である」。そう、これはマキューアン版『ハムレット』。しかし、胎児の「わたし」は、身動きのとれない観察者になるしかない。シェイクスピア版は悲劇だが、本作はサスペンスフルな人間喜劇になっている。

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*「フィガロジャポン」2018年8月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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