時代を切り拓け! 世界の注目クリエイター。 知的な刺激を与えてくれるパリのアーティスト、ネイルの魅力。
Culture 2018.08.13
オリジナルな発想で時代に風穴を開け、見たことがないものを創る。エネルギッシュな勢いのある、若手クリエイターたちにインタビュー。
|パリ|
世界で起こっていることへ、アートによる質問状。
ネイル・ベルーファ(アーティスト)
Neïl Beloufa
1985年、パリ生まれのアルジェリア系フランス人。パリのボザールとアールデコ校で学ぶ。ステュディオコレクター賞、アウディタレント賞、ムーリス現代アート賞など多数受賞。ポンピドゥー・センターやMoMAに収蔵。
アーティストとしての目標は、許される限り、できる限り、アートを創り続けること。
「アーティストの役割は、異なる表現や理解への小さな突破口を作ること」と言うネイル。映像やインスタレーションを用いた作風で、ニューヨークのMoMAや上海K11でも個展を開催する実力派だ。今年の5月までパリで行われた『僕の敵の敵』展は、権力化する現代社会におけるアートの役割がテーマ。ほかのアーティストの作品やドキュメンタリー映像を加えた構成で、展覧会全体をひとつの作品として提示。自動的に移動する展示物で、メディアやアートの表現する意味が見る角度によって変わることを想起させた。現在は、世界中の若い軍人にネットインタビューを敢行中。「特殊環境の中で、若さや権威、財力といった世界共通の価値観が愛国心やプロパガンダを超えるか」を追究している。世界を見る視線は一方向だけではないと、知的な刺激を与えてくれる稀有なアーティストである。
*『フィガロジャポン』2018年8月号より抜粋
réalisation : MASAE TAKATA(PARIS OFFICE)