フィガロが選ぶ、今月の5冊 ブッカー賞受賞、フラナガンが12年をかけた傑作。

Culture 2018.09.23

傑作の中の傑作と評された、フラナガンの新たな代表作。

『奥のほそ道』

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リチャード・フラナガン著 渡辺佐智江訳 白水社刊 ¥4,104

第2次世界大戦中、日本軍が建設した泰緬鉄道は“死の鉄路”という別名を持つ。軍医のドリゴをはじめ、捕虜たちは地獄のような日々を送っていた。「天皇陛下のために」と、理不尽な要求を突きつけるナカムラ。ドリゴの支えとなった道ならぬ恋。400ページを超える長編だが、戦争の不条理と残酷さの中に人間の真実を捉え、詩情を湛えた描写に圧倒される。『グールド魚類画帖 十二の魚をめぐる小説』で、その名を世界に知らしめた作家が、父親の過酷な捕虜体験をもとに12年の歳月をかけて書き上げた。傑作の中の傑作と激賞された、ブッカー賞受賞作。

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*「フィガロジャポン」2018年9月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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