秋の夜長に楽しみたい、海外ドラマ10選。#05 【海外ドラマ】幻想世界でめぐり逢い続ける、孤独なふたりの物語。

Culture 2018.10.26

始まったばかりのシリーズを中心に、海外ドラマを短期連載の第5回。SF・ファンタジーのジャンルが充実しているNetflixの新作「マニアック」は、ジャンルで言えばSFだが、普遍的なメッセージが心に響く感動ドラマだ。

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それぞれに問題を抱えるオーウェンとアニー。ジョナ・ヒル&エマ・ストーンが豪華共演!

「マニアック」(2018年~)

あらゆる心的問題を解決することができる新薬が開発されて、治験に参加するアニーとオーウェン。アニーは家族とうまくいっておらず、人生に目的が見いだせない。一方のオーウェンは統合失調症と診断された富豪の五男だ。他の10人とともに投薬後、人工知能につながれて各々が幻想体験をするのだが、なぜかアニーとオーウェンは共鳴し、体験を共有してしまう。必死に引き離そうとする博士らの焦りをよそに、ふたりは別世界で出会い続け、お互いのトラウマと向き合いながら確かな絆を感じ始めるーー。

『ラ・ラ・ランド』のオスカー女優エマ・ストーンと、コメディアンで『マネーボール』ほかでオスカー候補になったジョナ・ヒル。この顔合わせだけでもわくわくするが、ダークなコメディ調をベースとして、SFファンタジー、アクション、サスペンスとあらゆるジャンルの要素が盛り込まれた本作は、ある意味で「何でもアリ」の世界観が魅力だ。スパイやエルフになることもあれば、詐欺師や危険なギャングの一味の時もある。幻想の時代設定は毎回のように異なり、華麗に七変化するストーン&ヒルがそれぞれの物語を生きる展開は、映像美も含めて純粋に楽しい。

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幻想の世界の中で、さまざまな時代を背景に詐欺師やスパイ、エルフに成りきるエマ・ストーンの七変化が見もの。

本作はジャンルで言えばSFになるかもしれないが、実にシンプルで普遍的なメッセージを伝えている。それは孤独や疎外感を常に抱え、寂しい、哀しい、誰かとつながっていたいと切望する、他者を恋しく思う気持ちだ。現実は、きっともっと辛いものかもしれない。それでも、たまにはこんな美しく優しい夢を見てもいいじゃないか。そんなふうに思わせてくれるラストに涙する人も多いだろう。

クリエイターは、先ごろ「007」シリーズの新作の監督に抜擢されたことでも話題のキャリー・ジョージ・フクナガ。秀作ドラマ「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」でも注目の才能が、本作では監督としての実力と作家性を証明している。

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何度引き裂かれても別世界で再会するアニーとオーウェン。過去のトラウマや現実の問題に立ち向かうことができるのか?

「マニアック」予告編

texte:SACHIE IMA

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