ノルウェー発、氷細工のように鋭く美しいスリラー。

ノルウェー発の秀作スリラー、少女の願いは無垢か毒入りか？

『テルマ』

敬虔な両親と森の精に育まれ、北欧の少女テルマはオスロの大学生に。不慣れな都会暮らし、緊張と不安発作。閉じこもりがちな彼女に女学生アンニャが手を差し伸べる。ふたりの友愛は、未発達だったテルマの性的関心への導火線となる。封印されてきた幼少期の、恐るべき超自然の力をもそれは解き放つ。少女の困難な成長、停滞したり急発進したりするその歩みが、氷細工のように透明で鋭敏なスリラーに結晶。どちらが正で、どちらが邪か。娘と父の長い暗闘が物語のカギ。

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＊「フィガロジャポン」2018年12月号より抜粋