立田敦子のカンヌ映画祭レポート2019 #03 【カンヌ映画祭】エルトン・ジョン&タロン・エガートン、夢のデュエット!
Culture 2019.05.17
映画祭3日目。1日目で書いたように、去年から公式上映後にしかプレススクリーングが組めなくなったため、今日あたりからコンペ部門の試写が急に増え始めます。でないと、期間中に21本を上映しきれません。
朝イチからブラジル映画『Bacrau』(原題)。2016年のコンペで上映された『アクエリアス』のクレベール・メンドンサ・フィリオ監督がジュリアーノ・ドルネレスと共同監督した作品。近未来のブラジル奥地の村で起こる、ある闘争を描いたサスペンスです。SFともいえますが、西部劇を彷彿とさせるハード&プリミティブなアクションシーンもあり、クエンティン・タランティーノが審査員だったら好みそうな独特の味わいがあります。好き嫌いは別れると思いますが、カンヌのコンペらしい個性的な作品。
近未来のブラジルを舞台にした新感覚サスペンス『Bacrau』(原題)。
ヴィクトル・ユーゴーの小説と同じ名前が付いた『Les Misérables』(原題)は、主人公の青年が荒んだエリアの抗争に巻き込まれていく様子を描いた社会派ドラマ。ドキュメンタリー畑で活躍していたラジュ・リ監督の長編第1作。アフリカのマリから3歳でフランスに移住した彼は、自分が育ったパリ郊外のラ・ボスケという地域を移した作品で頭角を表したアーティストで、2017年には同名の短編がセザール賞にノミネートされました。
ラジュ・リ監督の長編デビュー作『Les Misérables』(原題)。
アカデミー賞にもノミネートされたドキュメンタリー『顔たち、ところどころ』(18年)をアニエス・ヴァルダと共同監督したアーティストのJRは、ラジュ・リと一緒に15年前から郊外を撮影し15年には『ラ・ボスケ』というドキュメンタリーを発表していますが、昨夜行われた本作の公式上映にも姿を見せていました。
『Les Misérables』(原題)の公式上映に登場したJR(ブルーのベルベッドのタキシード)。© GettyImages
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今年は、硬派な社会派作品も多いよう。続く『Atlantique』(原題)もマティ・ディオフというセネガル系フランスの女性監督の初長編作品。セネガルの高層ビルで働く青年を主人公にしたラブストーリーですが、こちらも政治的な要素が盛り込まれていて、今日的な作品といえるでしょう。
セネガル系フランスの女性マティ・ディオフ監督の『Atlantique』(原題)。
また、夜の公式上映では、招待作(アウト・オブ・コンペ)の注目作であるエルトン・ジョンの伝記映画『Rocketman』(原題)が登場。『キングスマン』(15年)シリーズでブレイクしたタロン・エガートンが主演していますが、公式上映には、製作も手がけている御本人エルトン・ジョンも登場。ワールドツアー中ですが、やはりカンヌには来ないと、ね。
デクスター・フレッチャー監督『Rocketman』(原題)は、エルトン・ジョンの伝記映画。
レッドカーペット会場でライブがあるのでは?と噂されていましたが、どうやらセキュリティ上の理由で叶わず(以前、U2は演奏していましたが)、上映後のアフターパーティで、タロン・エガートンとともに“I’m Still Standing” とデュエットをしたよう。来場客がアップしたインスタで見ましたが、生で見たかった! プレススクリーニング&記者会見は明日。楽しみです!
アフターパーティーで行われた、エルトン・ジョンとタロン・エガートンのデュエット。© GettyImages
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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