フィガロが選ぶ、今月の5冊 平成という時代を、ひとクセある目線で語る一冊。
Culture 2019.05.21
平成とはどんな時代か、刺激的な社会文化論。
『平成遺産』
武田砂鉄、最果タヒほか著 川島小鳥写真 淡交社刊 ¥1,728
2019年5月に元号が変わった。平成とはどんな時代だったのか。武田砂鉄、川島小鳥、みうらじゅんなど8人の表現者たちがちまたの平成ブームに一石を投じる。8歳の時に阪神淡路大震災で被災した詩人・最果タヒは、被災者としてひと括りにされることの違和感から口火を切る。時代も総括された時、必ずひとりひとりの実感からズレていく。たまごっち、宇多田ヒカル、ロスジェネ世代、ゆるキャラ……ちょうど女子高生だった人間が語る女子高生ブームとおじさんが語るソレは違うように、この人だからこそ語れるひとクセある目線が刺激的な社会文化論。
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*「フィガロジャポン」2019年5月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI