立田敦子のカンヌ映画祭レポート2019 #08 【カンヌ映画祭】ディカプリオ&ブラピ共演! タランティーノ最新作が上映。

Culture 2019.05.22

映画祭8日目。コンペは、韓国のポン・ジュノ監督の『Parasite』(英題)とクエンティン・タランティーノ監督の『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)。

『Parasite』(英題)は、誰も定職につかず日々底辺の暮らしに甘んじているキム一家を舞台に、長男が娘の家庭教師として雇われたことをきっかけに、とある裕福な一家に“侵食”していく……というストーリー。コメディ調で始まりますが、ある秘密が露呈することによって展開はダークに。クライムミステリーともいえる作品で、格差が激しいといわれている韓国社会の闇が描かれています。いや、韓国だけでなくこの格差問題の闇はグローバルな問題なのかもしれません。

『スノーピアサー』(2013年)や『オクジャ/okja』(17年)など、ハリウッドでも活躍しているポン・ジュノ監督にとって、『母なる証明』(09年)以来、10年ぶりの韓国映画と聞いて、ちょっと驚きました。ポン・ジュノ監督は、上映前にネタバレをしないようにという依頼をメディアに流しましたが、確かにこの展開は最初から知っていたらおもしろくない!と思わせる作品でした。公開時にも十分に注意して劇場に足を運んでください。

190522-0406df109cf6171d7cb1ec49d676069c.jpg定職につかないキム一家を舞台にした『Parasite』(英題)。

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『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)も、ネタバレ厳禁度の高い作品です。プレス上映前には、通常、記者会見の司会を務める映画祭の名物批評家が壇上に上がり、クエンティン・タランティーノ監督とプロデューサーからのネタバレをしないようにとの依頼を代弁しました。『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』(19年5月現在公開中)の公開前にも、ルッソ兄弟がネタバレ厳禁のメッセージをSNSで出して話題になりましたが、カリスマ性のある監督からの注意喚起がやっぱりいちばん効果的かもしれません。

『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)は、4月18日のオフィシャルセレクション作品のラインナップ発表記者会見では、完成が間に合わないためリストには入りませんでしたが、その後なんとか間に合うことが判明して追加決定。今年のコンペでもいちばんの話題作といえます。

190522-GettyImages-1150778516.jpg『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)で、レッドカーペットに登場したブラピ&ディカプリオ。©Getty Images

1969年のハリウッドを舞台に、レオナルド・ディカプリオ演じるちょっと落ち目のテレビスターとブラッド・ピットが演じる彼のスタントマンとの絆を軸にした、グラマラスで陽気で、そしてダークなクライムアクション映画です。クエンティン・タランティーノ監督ならではの映画愛にあふれた小ネタも満載。

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ディカプリオ&ブラピの共演でカンヌいちばんの話題作『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)。

ロマン・ポランスキーの妻だった新進女優シャロン・テートをマーゴット・ロビーが演じていますが、彼女をはじめ60年代のファッションやインテリアも見どころ。アカデミー賞でも、美術賞や衣装賞、ヘア&メイクアップ賞など狙えそうな作品です。

190522-4c3234969de88733665691017afdbbb1.jpg『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)は、マーゴット・ロビーの60年代ファッションにも注目したい。

日本では8月に公開が決定していますが、こちらも「オチ」が効いている映画なので、最低限の予備知識のみで、観ることを強くオススメします!

映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。

>>立田敦子のカンヌ映画祭レポート2019
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#02 窪田正孝、初カンヌ映画祭!

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#04 ペネロペも登場!スペインの巨匠が最高賞に王手?
#05 中国のノワールフィルムにタランティーノ登場!
#06 アラン・ドロンに名誉賞! ウーマン・イン・モーションは中国の大女優に。
#07 イザベル・ユペール、今年も大物女優の存在感!
#09 ディカプリオ&ブラピ映画の記者会見は長蛇の列!
#10 ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホにインタビュー。
#11 最後のインタビューはグザヴィエ・ドラン!
#12 パルムドールは韓国ポン・ジュノ監督に!

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