立田敦子のカンヌ映画祭レポート2019 #09 【カンヌ映画祭】ディカプリオ&ブラピ映画の記者会見は長蛇の列!

Culture 2019.05.23

カンヌ映画祭9日目。昨夜の公式上映を受けて『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)の公式記者会見。カンヌで大人気のスター監督クエンティン・タランティーノというだけでなく、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットという二大スターやマーゴット・ロビーも出席ということもあり大混雑が予想されたので、開始1時間50分前に様子を見に行くとすでに行列が!ということで、急遽、予定を変更しその列に並ぶことに。

190523-2.jpgクエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーなど出席した記者会見は大混雑!©Atsuko Tatsuta

カンヌの記者会見場は、ヴェネツィアやベルリンの映画祭に比べると狭く、人気の監督や俳優の出演作品には入場できないジャーナリストも出てきます。並び始めて30分であっという間に長蛇の列ができましたが、並んでいる人の半分も入場できそうにない状況。プレスセンターやプレス用のカフェにモニターが何台もあり、会見の様子は見られるので、最初からそちらを選ぶ人もいます。ジャーナリストからクレームが毎年のように入っているので、会場を大きくすればいいのにと思うのですが、20年経ってもなぜかまったく改善されません……。私は早くから列に並んだ甲斐があり無事に入場できましたが、今年いちばんの注目作なだけに、会場内は熱気と殺気がすごい!(笑) 

190523-1.jpgレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの二大スターが揃い、終始和やかな雰囲気。©Atsuko Tatsuta

おもしろいのは、二大スターが揃うにも関わらず、その質問の多くは監督のクエンティン・タランティーノに向けられたこと。“作り手=フィルムメーカーを讃える場”というのが映画祭ですが、それは建前でなくホンネなのです。「60年代のハリウッド映画へのラブレター」とタランティーノがいう『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)は、映画祭で愛されるタイプの作品。ジャーナリストたちの間でも評判は上々です。

190523-7e85bfb04eae1af627743dd44b8686bf.jpg『Once Upon a Time... in Hollywood』(原題)では、レオナルド・ディカプリオが落ち目のテレビスターに。彼のスタントマンをブラッド・ピットが演じる。

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グザヴィエ・ドランの最新作は青春映画。

さて、本日のコンペ作品は2本。まずは、グザヴィエ・ドランの『Matthias et Maxime』(原題)。ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤールらフランスの有名俳優を起用しグランプリを受賞した『たかが世界の終わり』(2016年)以来、3年ぶりのカンヌです。アメリカで豪華キャストで撮影した前作『The Death and Life of John F. Donovan』(原題・18年)は、昨年のトロント国際映画祭でプレミアされたもののまだ日本では公開されていませんが、『Matthias et Maxime』(原題)では2作品ぶりに母国カナダが舞台です。

190523-GettyImages-1150982210.jpg『Matthias et Maxime』(原題)の公式上映に登場したグザヴィエ・ドラン。©Getty Images

『Matthias et Maxime』(原題)は、幼馴染みの青年ふたりが主人公の青春群像劇。グザヴィエ・ドラン本人が主人公を演じています。19歳でデビューしているので、キャリアだけを見ると大物感が漂いますが、実際は30歳の青年。まだ、青春映画が似合います。

190523-cad40735e646a31c0fa62b8608875cd2.jpg『Matthias et Maxime』(原題)では、グザヴィエ・ドランが監督&主人公を演じる。

2本目は、カンヌの常連であり、フランスを代表する監督のアルノ−・デプレシャンの『Roubaix, Une Lumière』(原題)。老女の殺人事件の容疑者として浮かび上がったふたりの若い女性(レア・セドゥ、サラ・フォレスティエ)を巡るクライムストーリーです。『デイズ・オブ・グローリー』(12年)などで知られる、ちょっと強面の名優ロシュディ・ゼムが刑事役。それにしても今年は、ジャンル映画とLGBTQ映画が多い!

190523-eac0c0d8fb1cfc5f204487c30d1038b3.jpgアルノ−・デプレシャン監督『Roubaix, Une Lumière』(原題)は、ふたりの若い女性を巡るクライムストーリー。

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東京国際映画祭の審査員は女優チャン・ツィイーに。

またジャパンパビリオンでは、10月に開催される第32回東京国際映画祭のコンペティション部門の審査員長が中国を代表する女優チャン・ツィイーに決定した、との発表がありました。「初めて東京に来たのは、長編映画のデビュー作とともに中国から旅に出た若い俳優時代でした。『初恋のきた道』(00年)への歓迎の温かさにとても感動し、日本が映画制作に込める愛情と情熱を直に目の当たりにしたことを覚えています。私の長編映画デビュー作が、日本、そして世界中の映画ファンに好評を得たという経験は、この(映画という)視覚的な方法が物語を語る力、普遍的に感じられる悲しみと喜びを表現する力というものを教えてくれました。若い俳優にとって、これは素晴らしい体験でした。今回、東京国際映画祭にご招待いただき、日本の映画ファンと一緒に過ごすことができることは大きな喜びであり、また審査委員長として名だたる映画人とともに素晴らしい作品を見つけて讃えるという格別な経験ができることを光栄に思います」と話しました。

190523-Zhang_Ziyi_in_Chopard_on_the_red_carpet_of_the_67th_Cannes_Film_Festival-jpg.jpgチャン・ツィイーは、今年のショパール・トロフィーのゴッドマザーも務めた。©Chopard

カンヌでも女性の審査員や審査員長を積極的に登用する姿勢を見せていますが、これは世界にも広がりそうです。

映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。

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