世界一有名な図書館の舞台裏に迫るドキュメンタリー。

特集

図書館の心尽くしを享受し、驚嘆し、感激する映画体験。

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

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図書館が街に溶け込み、脈を打つ。多彩な公共的サービスに、時を忘れて憩いたくなる。ヴェネチア国際映画祭を歓喜させた至福のドキュメンタリー。

わたしは映画通でもなんでもなく、ただ図書館が好きで、人生の大部分を図書館に関わる仕事をしてきた人間としてこの映画を観ました。そして深く感動しました。

ひとつには、この映画が、わたしが50年前図書館員としての第一歩を踏み出したボルティモアの公共図書館での日々を圧倒的な懐かしさで甦らせてくれたからですし、またひとつには、図書館が社会のなかで果たし得る機能の大きさについて、改めて希望を抱かせてくれたからです。

映画は、この世界最大といっていい公共図書館で行われている多彩なサービスの数々を描き、その描写のところどころに、そのサービスを裏で支えている図書館員の姿を挿入しています。あまり図書館を利用したことのない日本人には、これだけのサービスが誰にでも無料で提供されていることは驚きでしょうが、もっと驚くべきは、この図書館がNPO法人として運営されていることです。もちろん市も資金を提供していますが、民間からの寄付の大きさが図書館の存続と事業の必要性を証明するものだとして、市に予算の増額を迫る考え方には脱帽のほかありません。

画面に誘い込まれて自分も一市民として図書館を訪れ、素晴らしい建築と内部の豪華さに目を奪われ、収蔵された知識と情報の膨大さに驚嘆し、興味尽きぬ催物の数々をたのしみ、行き届いたサービスに感激している気分になっていた身には、3時間25分はあっという間でした。「図書館は民主主義の柱。トランプ大統領よりも、ニューヨーク公共図書館の方が、アメリカを代表する存在としてはるかにふさわしい」との監督のことばに共鳴!

文/松岡享子 児童文学者

1974年、後に公益財団法人となる東京子ども図書館を設立。現・名誉理事長。訳書に『くまのパディントン』シリーズ(福音館書店刊)ほか、著書に『子どもと本』(岩波新書)ほか多数。
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
監督/フレデリック・ワイズマン 
2017年、アメリカ映画 205分 
配給/ミモザフィルムズ、ムヴィオラ
岩波ホールほか全国にて公開中
http://moviola.jp/nypl

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*「フィガロジャポン」2019年7月号より抜粋

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