依存症の息子を愛で包む、ジュリア・ロバーツの新境地。

Culture 2019.06.09

厳しくも包容力のある母と、深みに落ちた子の愛の闘い。

『ベン・イズ・バック』

1906xx-cinema-03.jpg

クリスマスイブの朝に突然、19歳のベンが帰宅。施設からの脱走を疑いながら、母ホリーは息子を受け入れる。ベンの薬物依存症はケガを治した時の鎮痛剤の過剰投与が一因。だが、名作『ギルバート・グレイプ』の原作者でもあるヘッジズ監督は、同情しやすい地点に安んじない。薬物の快楽的な多幸感で恋人を破滅させたベンの体験は、母の絶対の愛も届かぬ沼の深みに潜むようだ。根は優しい青年の底なしの足掻きをルーカス・ヘッジズ(監督の実の息子)が体現。万策尽きても闘い続けるジュリア・ロバーツの母親像も異彩を放つ。

『ベン・イズ・バック』
監督・脚本/ピーター・ヘッジズ
2018年、アメリカ映画 103分
配給/東和ピクチャーズ
TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中
https://benisback.jp

【関連記事】
ポーランドの若き才能が描く、少年のある夏の記憶。『メモリーズ・オブ・サマー』
世界一有名な図書館の舞台裏に迫るドキュメンタリー。『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

*「フィガロジャポン」2019年7月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories