極限に引き裂かれた恋人たちを描くヴェンダース最新作。

Culture 2019.08.01

胸を焦がすふたりの恋情と、ふたつの決死の任務が白熱。

『世界の涯ての鼓動』

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ジェームズ・マカヴォイ演じる諜報員は、聖戦思想と原理主義が支配するアフリカ某所に潜入する。アリシア・ヴィキャンデルの生物数学者は、生命誕生の謎を追って超深海に潜る。世界に見捨てられた灼熱の人間界と、いまだ発見されざる暗黒の自然界。シンクロするふたつの極限状況は、ロードムービーの旗手が拓く合わせ鏡の旅か。苦難多き地上の旅も、逃げ場は海。死の淵に立つ任務前、北フランスの海辺での休暇中にふたりは恋に落ちた。寸暇を惜しむように。恋の記憶が、海底の熱水噴出孔から交互に噴き出すような演出だ。

『世界の涯ての鼓動』
監督/ヴィム・ヴェンダース
2017年、イギリス映画 112分
配給/キノフィルムズ
8月2日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開
http://kodou-movie.jp

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*「フィガロジャポン」2019年9月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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