カナダの新鋭が手がけた、煌めくような青春映画。

Culture 2019.07.26

青春コメディの類型を超えた、繊細で高感度な生の手触り。

『さよなら、退屈なレオニー』

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地元ケベックの工場を追われて父が失踪。再婚した母も父を追放した義父も疎み、17歳のレオニーは落ちこぼれの日々を送る。殺伐とした日常の景色が変わるのは、ミュージシャン兼ギター講師のスティーヴとの出会いだ。劇的な変化が訪れるのではない。こじらせ女子を肯定感へと導くスティーヴにも、理想家肌ゆえの弱さを覗かせる父と同じく「退屈」や「幻滅」がある。でも、人工の光の下では見えなかった蛍の微光を暗中に見いだすように(原題は『蛍はいなくなった』)、少女は大人には見えない世界の晴朗さを探り当てようとする。

『さよなら、退屈なレオニー』
監督・脚本/セバスチャン・ピロット
2018年、カナダ映画 96分
配給/ブロードメディア・スタジオ 
全国にて順次公開中
http://sayonara-leonie.com

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*「フィガロジャポン」2019年8月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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