1時間だけ寝るのと徹夜するのと、どちらがいいの?

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少し寝るか、まったく寝ないか。パーティの後や翌朝までに仕上げなければならない仕事が入ってしまった時、誰もが悩まされる難問だ。3人の睡眠の専門家に意見を聞いた。

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午前4時以降に寝るのはよいことなのだろうか? photo:Getty Images

午前4時。友人との会話や音楽に夢中になって、モスコミュールのグラスを重ねていると、つい時計に目を配るのを忘れてしまうもの。ただ、翌朝は6時45分に起床しないといけない。「いまから寝るとかえってよくないのでは?」心の声がそうささやきかける。

「夜更かしをした後で少し寝ようという時に厄介なのが、睡眠慣性(睡眠酩酊ともいう)です」と、神経科医でピティエ=サルペトリエール病院睡眠障害科ディレクターのイザベル・アルニュルフ医師は言う。「眠る時間があまりないと、眠りに落ちてすぐ深い睡眠に達しても、深い眠りの途中で覚醒するのは困難。そのため、起きた時に混乱が生じます」。それでは、少しでも寝たほうがいいのか、まったく寝ないほうがいいのか? 専門家の回答を紹介しよう。

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体内時計を尊重する。

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photo : iStock

寝る? 寝ない!? 「どちらも最善ではありません」とアルニュルフ医師はきっぱり。いずれにしても身体にいいことではない。人間に必要な1日の睡眠時間は平均8時間といわれる。睡眠には、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠、レム睡眠など複数のステージがあり、夜間の睡眠中にこれらの段階を経ることで身体と脳は疲労から回復する。クレテイユのアンリ・モンドール大学病院睡眠科のフィリップ・ボーリユ医師は次のように解説する。「深いノンレム睡眠の間には細胞が再生され、身体にとって必要なホルモンが分泌されます。逆にレム睡眠中は、記憶の定着、感情の整理が行われます。夢を見るのもこの状態の時です」。要するに、睡眠時間が短いほどこうした睡眠の効果も減ることになる。徹夜をした場合は、睡眠効果はもちろんゼロというわけ。

とはいうものの「たとえほんの少しであっても眠れば、睡眠不足の軽減にはなります」と時間生物学者でカーン大学ユニテ・コメット・ディレクターのドクター・ダミアン・ダヴェンヌは言う。ではさっそくとひと眠りする前に、いわゆる体内時計が乱れないよう、いくつか基本的なルールを押さえておこう。

「人間は通常、朝の6時から7時頃に起床するようプログラムされています。この時間を過ぎてから寝ると、体内時計に間違った信号が送られ、その後しばらく朝の起床が辛くなります」とダヴェンヌ医師は説明する。

身体のリズムを崩さないためには、体内時計に合わせることが大切、とダヴェンヌは続ける。「睡眠にはサイクルがあり、1サイクルはおよそ90分です。サイクルの途中の深い眠りの状態から目覚めるには、覚醒状態まで浮上するために多大な労力がいります。反対に、サイクルの最終段階であるレム睡眠の場合は、脳がすでに活動状態にあるので楽に目覚めることができます」。ゆえに、体内時計が狂わないように、1時間半、3時間、4時間半という具合に、睡眠時間を90分単位で取るようにするといい。

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翌日は注意力低下。昼寝がおすすめ。

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photo : iStock

夜更かしした日の翌日は、体調が万全ではないので注意が必要だ。「就寝時間が遅くなっても、私は翌朝は普段の起床時間のせいぜい1~2時間後には起きるようにしています」とボーリユ医師は言う。したがって朝寝坊は禁物。

また徹夜をした時は、翌日どっと疲れが出るので要注意だ。「徹夜すると、体内の覚醒システムが過剰に活性化されます」とボーリユ医師。ダヴェンヌ医師もこう補足する「麻薬に似た効果をもつコルチゾールが多量に分泌されます。その結果、多幸感が生じ、脳が疲労感を感じなくなります。ただし、この興奮状態は午後には急激にトーンダウンします」

したがってこの間は、普段している行動にも十分な用心が必要。たとえば車の運転は避けて、公共交通機関を利用するほうがいい。「反応時間がいつもより長くなります。アルコールを摂取した時と同程度まで注意力が低下しているためです」とボーリユ医師は言う。

1日中寝ても睡眠不足の解消にはならないことはおわかりいただけただろう。その代わり、昼寝はおすすめだ。「身体的低調期と呼ばれる、日中に覚醒システムが自然に低下する時間帯があります」と言うのは、ボーリユ医師。この時間帯に昼寝をすれば、夜眠れなくなることもない。「日中20分の昼寝で、睡眠サイクルの1~2周期分を取り戻せる」と、ダヴェンヌは言う。仕事場で昼寝の時間を取るのが難しい場合は、普段より1時間半早くベッドに入るようにするといい。

「1日1個のリンゴで医者知らず」と言うが、運動や良質の睡眠も健康維持には欠かせない。「徹夜や夜更かしを頻繁に繰り返していると、寿命を縮めることにもなりかねません」とダヴェンヌは警告する。睡眠不足が心血管疾患や2型糖尿病、高血圧などの疾患のリスク要因となり、鬱や不安感につながることに、多くの研究が光を当てている。

朝まで踊り明かすのもいいが、なんでもほどほどが肝心だ。

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夜中に目が覚めてしまったら、どうすればいい?

夜中に何度も目が覚めて、翌朝ぐったり……。そんなあなたに、すぐに眠りにつくための4つのコツを紹介しよう。

1.時計を見ない。
ついやってしまいがちだが、これは大きな間違い。時計を見るたびに、起床まであと何時間あるか計算してストレスが溜まってしまう。ベッドに入ったら、目覚まし時計を自分の方に向けないこと。デジタルディスプレイは睡眠を妨げるブルーライトを発するものが多いだけになおさらだ。就寝の1時間前に、スマートフォンも含め、すべてのモニターをシャットアウト。

2.呼吸を整える。
ヨガを取り入れた4-7-8呼吸法を試してみよう。羊の数を数えるより効果的だ。まず、舌の先を上の前歯の付け根のすぐ後ろにつける。セッションの間、舌はこの位置から動かさないこと。口から肺の空気を吐き出したら、口を閉じ、4つ数えながら鼻から息を吸い込む。息を止めて頭の中で7つ数える。次に、8つ数えながら口から息を吐き出す。これを繰り返す。3度目のセッションが終わる頃には、うとうとしてくるはずだ。

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夜中に目が覚めてしまい、再び眠ろうにも叶わず、朝起きてぐったり疲れていることはありませんか? photo:Getty Images

3.自己催眠をかける。
まだ眠くならない? そんなあなたは、本当に自分は眠いのだ、と自己暗示をかける必要がある。日々の健康管理の大切さを説く『Vital!』の著者であるフレデリック・サルドマンが提案する、イメージトレーニングがおすすめだ。自分の身体がとても重く、身動きができなくなり、身体がマットレスに沈み込んでいく、とイメージする。意識を身体に集中させ、頭、背中、腿と、全身がマットレスに完全に密着しているのを感じてゆく。この重さの感覚によって、本当に「眠りに落ちて」いくはずだ。

4.20分間だけ起きる。
上記で紹介した方法を試しても眠れないというあなた。ベッドの中で悶々としていても仕方ない。そんな場合は一度起き上がってみるといい。ただし、スマートフォンもパソコンも、テレビもつけないこと。コップ1杯の水か、ミントなしのティユル(リンデン)やカモミールなどのハーブティーを飲みながら、好きな本を少しだけ読む。20分以上起きていると逆効果なので気をつけて。

texte:Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr),Laurence Negroni-Nikitine (madame.lefigaro.fr)

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