ドヌーヴとビノシュが共演! 是枝監督の描く嘘と真実。
Culture 2019.11.14
嘘と真実を肥やしにする、女優や映画に愛をこめて。
『真実』
カトリーヌ・ドヌーヴが演じるのは毒舌家の大女優。その娘役のジュリエット・ビノシュは、女優崩れの脚本家だ。脚本家の夫にして下っ端TV俳優がイーサン・ホーク、と配役からもう虚実混交のスリルがある。母の自伝『真実』の出版に合わせ、母娘関係が歪められていないかを恐れて、遠路、家族連れで娘がパリ郊外に帰郷。バックステージ映画の興趣も乗せ、真実と嘘、現実と虚構、生きることと演じることの分かちがたさが浮き彫りになる。是枝監督がニヤリと仕掛けた、永遠に母にかなわぬ娘の、会心の一撃をお見逃しなきよう。
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*「フィガロジャポン」2019年12月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO