カルチャーベスト2019 MUSIC #03

2019年にリリースされた、とにかく心踊る3アルバム。

特集

年末年始は心も身体もゆっくり休めながら、新しい年を迎えるためにエネルギーを蓄える時期。自宅で過ごす人も、帰省する人も、家族やパートナー、友人とヴァカンスに出かける人も、いつもより時間をかけて映画や音楽、本にじっくり浸ってみては? それぞれのジャンルのプロが、2019年に最も心に響いた名作を厳選。音楽通たちが推薦する3枚のアルバムを聴いて、ポジティブなサウンドとメッセージに心躍らせながら、新しい年を迎えよう。

心地よいビートとソフトな歌声。

『ルージュ』ユナ

選・文:栗本斉(音楽&旅ライター)

数年前に某音楽誌から原稿を依頼されたのがきっかけで知った、マレーシア出身の歌姫ユナ。本国ではずいぶん前から知名度は高いらしいが、本格的にワールドデビューを果たして2作目を数えるのが、この真っ赤なドレス姿のジャケットが印象的な本作。

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ユニバーサル ¥2,750

タイラー・ザ・クリエイターやG・イージーといった旬のラッパーをゲストに迎えているところからも本気度は十分だが、メロウなサウンドに乗せたキュートな歌声は絶品。少しレトロな雰囲気のレアグルーヴ感に満ちたサウンド・プロダクションもかっこいい。踊れるビートが満載なのに、ウィスパー系ボーカルのソフトなテイストで癒やしの空間を作り上げているのもおもしろく、すっかり今年いちばんの愛聴盤となった。

ファッション性と美貌にファッション界も熱い視線を注ぐ。アジア発のシンガーソングライター、ユナの3年ぶりとなるアルバム。

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ポジティブなメッセージがすべての人を鼓舞する。

『コズ・アイ・ラヴ・ユー』リゾ

選・文:伊藤なつみ(音楽ジャーナリスト・編集者)

2020年1月に発表される第62回グラミー賞に向けて、年間最優秀レコードなど主要4部門を含む8部門での最多ノミネートとなった、まさに時の人。アルバムとしては3枚目となる本作は、それまでのヒップホップ色から歌モノへと幅を広げ、往年のR&Bバラードやプリンスへの敬意を示したナンバーも含む、心地よく身体を揺らせるナンバーを満載。

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ワーナー ¥2,420

作詞家であり、自らの身体でボティ・ポジティビティを体現させ、“そのままの自分を受け入れよう”というセルフ・ラブも提唱してきたアクティビストでもあるリゾが、そのエンタメ性高い楽曲で歌うことで、多くの人を鼓舞する大ヒット作へと到達した。“その人らしく振る舞えば、それがその人のジェンダー”という意を込めた、男性も含めたパフォーマティビティからのフェミニン要素を肯定した「ライク・ア・ガール」や、「ベター・イン・カラー」などもあり、LGBTや人種や性差を超えて幅広い支持を獲得。心身ともにアガる快作。

ダイバーシティ時代のポップアイコン、リゾのメジャーデビューアルバム。収録曲「トゥルース・ハーツ」は女性ソロ・ラップ楽曲として全米1位最長記録を更新。

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心を解き放つ歌声に魅了されて。

『ラヴ・アンド・リベレーション』
ジャズメイア・ホーン

選・文:内本順一(音楽ライター)

カウントに続いて前奏もなしに飛び出す歌声の明るさに、まさしく“心が躍る”。声が発せられたその瞬間、たちまち目の前がパアっと明るくなる。歯切れのいい4ビートに乗せ、“意識を広げて、心を解放して”と歌われるオープナーの「フリー・ユア・マインド」を聴けば、どんな人でも自分を縛っていた何かから解き放たれた気持ちになるだろう。グラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・アルバムにもノミネートされているこの作品で、ジャズメイア・ホーンは“愛と解放”をテーマに書かれた曲を快活に歌っている。

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ユニバーサル ¥2,860

すごいのは「アウト・ザ・ウィンドウ」「サーチン」といった自作曲でのスキャットで、そこには爆発力がある。先頃の初来日公演も観たが、ライブとなるとスキャットにとる尺はもっと長くなり、獰猛と形容したくなるほどの威力で迫ってきた。それを生き生きと楽しそうに、ときには鳥が鳴くみたいな声で彼女はするのだ。アップテンポの4ビート、ムーディーなスロー、ブルーズ、デュオでのスポークンワードまで、この作品には多様な作風の曲が入っているが(12曲中8曲が彼女の自作だ)、そのすべてから彼女が感情の解放表現によって聴く者を魅了するシンガーであることが伝わってくる。さあ、意識を解放して心を躍らせ、今日も出かけよう。

1991年生まれのジャズシンガーソングライター、ジャズメイア・ホーンによる、『A Social Call』に次ぐ新作であり日本デビュー作。

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