モトーラ世理奈が熱演、天国へ声を届ける電話の物語。

Culture 2020.01.31

日欧を往復する鬼才が描く、少女の本州縦断の貴い時。

『風の電話』

2002xx-cinema-03.jpg

9歳の時に津波で両親と弟を失い、高校生ハルは広島の叔母の家に預けられる。洪水による山崩れを目撃し、不動状態だった感情の湧出に気を失うほどの出来事を出発点として、この口数の少ない少女が故郷の岩手県大槌町を目指す。モデル出身のモトーラ世理奈がノーメイクで挑むソバカス娘は、三浦友和、西島秀俊、西田敏行ら、行きずりの訳アリ男たちの助けを得て、危うい旅の道々、拒んでいた世界を静かに感受する。死者たちとハルが親しく対話する「風の電話」の長回しシーンは、風と光と樹々が呼応し、時空が秋色に震えるよう。

『風の電話』
監督・共同脚本/諏訪敦彦
2019年、日本映画 139分
配給/ブロードメディア・スタジオ
新宿ピカデリーほか全国にて公開中
www.kazenodenwa.com

【関連記事】
女優モトーラ世理奈に魅了された男たちのハナシ。
洗練された会話に満ちた、パリの大人のラブストーリー。

*「フィガロジャポン」2020年3月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories