大人も夢中にさせる、少年の煌めく「ひと夏の思い出」。

Culture 2020.04.05

思春期未満の淡い初恋が、ヴァカンスの物憂さを一変。

『恐竜が教えてくれたこと』

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絶滅寸前の最後の恐竜を夢想する多感な少年サムは、家族と休暇中のオランダ北部の島でも漂流動物の気分だ。ある日、民宿をひとりで切り盛りする島の娘テスと出会い、11歳の夏の風景が様変わり。2歳年上の少女には不在の父にまつわる秘密がある。幼い嫉妬にもがきながらも、サムの初恋は別れの時に何よりもテスの望みを叶えさせる。 満潮時の潟で立ち往生するサムを救い出した、地元の爺さんの死出の挿話も印象深い。「終わり」の意識に過敏な少年が旅や命の名残りを惜しむように、翳っては輝くひと夏。その波動が胸に迫る。

『恐竜が教えてくれたこと』
監督/ステフェン・ワウテルロウト 
2019年、オランダ映画 84分
配給/彩プロ
シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中
※上映日程・時間変更などの情報は各劇場公式ウェブサイトをご確認ください。
http://kyoryu.ayapro.ne.jp

*「フィガロジャポン」2020年5月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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