女子も大好き! バンクシー。 コムアイと観る、『バンクシー展』。

Culture 2020.05.04

日本でバンクシーの展覧会が2件も開催される2020年は、前代未聞のバンクシーイヤー。ストリートアートを愛する水曜日のカンパネラのコムアイとともに、バンクシーの魅力の真髄に迫る。ストリートで生まれたバンクシーの作品を展覧会で観るという行為を通し、あらためて彼の作品が語るメッセージについて考えたい。

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BANKSY本人がオーソライズ・キュレーションしたわけではなく、コレクターのコレクションを集結させた、世界ですでに100万人を動員している話題の巡回型展覧会、『バンクシー展 天才か反逆か』。入口に設置されたバンクシーのアトリエをイメージしたスペースにて。

 

神出鬼没な覆面アーティストとして、既存のアート界やギャラリーに背を向けながら、常にストリートに身を置きインディペンデントな活動を続けているバンクシー。展覧会という手法もめったに取ることのない彼の作品を直に観ることができるのは、それが街中に現れたタイミングでその場に居合わせることができた強運の持ち主か、はたまた超高額で取引される作品を購入できたビリオネアか。だからたとえそれが“無許可”だとしても、バンクシーの作品を世界中から集めた展覧会は、各国で開催されるたびに大きな反響を呼ぶ。

今年は現在横浜で開催中の『バンクシー展 天才か反逆者か』に加え、8月から12月にも、天王洲で別の展覧会が予定されている“バンクシーイヤー”だ。自身でもゲリラ的なパブリックアートをたびたび展開しているコムアイは、バンクシーのアートを目の前に、いったい何を感じ取ったのだろうか。

「バンクシーがその時、その場所で、その内容を描くことによって生まれる痛烈な社会風刺やアイロニー、ユーモアといった複合的な要素が折り重なって、見た瞬間に“ズン”とくる。その感覚自体が“バンクシー”というアートになっているように感じます。だから彼の作品は、彼がストリートに放った繊細な野生生物であって、それを切り取ったり移動させたり、ほかの人間が手を加えた時点で、本来の意味は簡単に失われてしまいます」

しかしそんなストリートアートの真意とは裏腹に、展覧会で映し出されたのは、バンクシーの作品が高値で取引される世界の熱狂だ。アートと消費の在り方を考えさせられる、とても興味深い展示でもある。

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彼のアートはまるで、街に放たれた野生生物。

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「やっぱりバンクシーのアートは、どこにどのように描かれたかという部分が特に重要なので、こういったスケール感がわかる写真の展示は見応えがありますよね。」と、コムアイ。イギリスのブレグジット(EU離脱)を風刺した『ブレグジット』。

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爆弾を抱える少女を描いた『ボム・ラブ』(2003年)
photo:バンクシー展 天才か反逆者か

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バンクシーを象徴する“ラット”作品も多数上陸。『ラブ・ラット』(2004年) 

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昨年行われたオークションで、バンクシーの作品として過去最高額の約13億円で落札され話題となった『モンキー・パーラメント』(2009年)の小型版。「英国議会を揶揄しているのでは」とコムアイ。
photo:バンクシー展 天才か反逆者か

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アンディ・ウォーホルの『マリリン・モンロー』をオマージュした『ケイ
ト・モス』(2005年)

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『ボム・ミドル・イングランド』(2005年)、『ターフ・ウォー』(2003年)、『モンキー・クイーン』(2003年)など、初期の人気作品が並ぶコーナー。

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イスラエルとパレスチナを分ける分離壁の目の前に建てられた、“世界一眺めの悪いホテル”の異名を持つ「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」(2017年)の客室を再現したインスタレーション。

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ロンドン北部のトッテナムにあるショップの壁面に描かれた『ノー・ボール・ゲームス』(2009年)の写真が壁一面に。2013年には壁ごと取り外されたのちにオークションにかけられ、約7400万円で落札。その落札額は障害児支援に使われた。
photo:バンクシー展 天才か反逆者か

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ロサンゼルス・ビバリーヒルズの火災で焼けた建物に描かれた『ファイヤ・スターター』(2011年)の写真も、実物をイメージさせるサイズ感で。
photo:バンクシー展 天才か反逆者か

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展覧会場入口向かいにある別室では、大型3面スクリーンによる映像インスタレーションが展開されている。

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コムアイが観た、『バンクシー展』

4/20発売6月号、本誌企画「女子も大好き!バンクシー」に登場してくれたコムアイが、自ら展覧会会場内を彼女の視点で切り取った。コムアイが観た風景をここに。

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女子も大好き! バンクシー 。

photos : TAKANORI OKUWAKI (UM), réalisation : SHINGO SANO, バンクシー公式ページ

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