なぜ私たちはテレワーク中、オフィスが恋しくなるのか。

Culture 2020.05.25

緊急事態宣言の全面解除が近付いてきている。テレワーク期間中のウェブ会議にストレスを感じている? 数時間ごとに同僚たちに電話をしたくなる? 騒がしいオープンスペースが恋しい? 心理学者で経営コンサルタントのセシル・デュム氏は、それらの感情は正常だと述べている。テレワークをよりやりがいのあるものにするためのアドバイスを紹介しよう。

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危機的な状況には役立つものの、電話というものは私たちのモチベーションに必要な同僚たちの存在の代わりにはならない。photo : iStock

フランスでは、新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるために政府から命ぜられたロックダウンによって、人々の生活習慣、特に働く人々は混乱に陥った。当初のカオスな数日間の後、何百万人ものフランス人たちは自宅のリビングルームでお茶を片手にスリッパを履いて、自宅で働く喜びを享受した。

皆が新しいビジネスツール、朝のビデオ会議、そして昼食の後のバーチャル・カフェタイムに慣れなければならなかった。しかし、目新しさによるアドレナリンの分泌は時間が経つにつれて減り、人々はテレワークによる制約を一層感じるようになっていった。エンドレスで厄介なウェブ会議によって、孤独感やモチベーションの浮き沈みを感じるようになり、ついには同僚と過ごすオープンスペースが恋しくなってしまう。普段だったら、騒がしくて集中できず、たいていの場合は好きではなかったはずなのに。そして、もとの生活に戻りたいと切望した。オープンスペースが恋しくなる、この気持ちはどこからくるのだろうか? ビジネスシーンを専門とする心理学者であり、経営コンサルタントのセシル・デュム氏は次のように説明する。

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オフィスが恋しくなるのは正常?

私たちはオフィスという場所よりも、そのほかの要素を恋しく思っている。私たちは常に誰かのために、そして誰かと一緒に働いている。会社の内外を問わず、クライアントなどコミュニケーションする相手が存在するはずだ。それこそが仕事の特徴なのである。私たちは完全にひとりで何かを生み出すのではなく、クライアントや仕事のパートナー、同僚、そしてそのほかのサービスとともに仕事を進めている。また、私たちはオフィスにいる時、もっと簡単に話したい相手と話すことができる。テレワーク中、オフィスが恋しくなるのはいたって正常なのだ。

リモートで通信するために必要なすべてのツールが揃っているのに、なぜ十分ではないのか?

テレワークはオフィスにいるよりもはるかに疲れる

理由はふたつある。第一に、私たち人間は感情を持つため、他者とコミュニケーションを頻繁に図ることは感情面において必要不可欠なのだ。同僚や上司と定期的に確認し合わないと、やる気を維持するのは容易ではない。

第二に、テレワークはオフィスにいるよりもはるかに疲れるからだ。直接会って打ち合わせする場合に比べて、電話で話す際は相手にわかりやすいように考慮する必要がある。実際に会議室にいる場合には多くのサイン、たとえば相手の表情やプロジェクターから映し出されるビジュアルなどが言葉を補足する。こういったサインによって多少ボーッと聞いていても集中しやすい。

いっぽう、電話の場合は声しかない。ウェブ会議は機能的にも身体的にも非常に集中力が必要となる。たとえ自宅にいて、スリッパを履き、お茶を片手に持っていたとしても。ちょっとした技術的な問題や時差があったり、相手の言葉が聞き取れなかったりするとなおさら大変だ。オフィスに比べて働きやすさは劣る。

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どのすればこの不快感が軽減できるのか?

まずは定期的な時間にウェブ会議の予定を入れておく。あなたがもしマネージャーであれば、チームメンバーに「話したい場合にはすぐに電話してください」と伝えよう。これは必要なことではあるが、十分とは言えない。チームメンバーを励ましていくことが必要だ。積極的にサポートすることで、彼らのやる気とコミットメントを維持できる。

従って、カレンダーに予定を入れること、やることリストを作ること、皆で話し合うことは重要である。朝のミーティングをうまくまとめられていれば、皆やる気がでる。ひとりで仕事を進めていても、同僚の話にも耳を傾けながら前進することができる。そうすることで、皆にあらためてやる気をもたらし、バーチャルではあるもののチームメンバーと少しでも時間を共有することができる。1日の予定にちょっとしたおしゃべりの時間を設けるのもためらわないでほしい。リモートであっても、月曜日の朝に近況について同僚と話せば、よい変化が起こるかもしれない。

最後に、チームメンバーがリラックスできるかどうかはマネージャー次第である。近況を語らない同僚や普段どこにいるのかもわからないような同僚については気を付けなければならない。その場合、まずはじめにすべきことは、ただ電話をすることだ。テレワーク期間中は誰とどんな会話をしたか、簡単にメモしておいてはどうだろうか。これによって、漏れなくチームメンバー全員をフォローすることができる。

定期的に交流することに加えて、私たちは働き方を立て直す必要はあるか?

マネージャーたちにとって、いまはチームの垣根を越えたとしてもうまく連携しながら、小さなグループで仕事を推進していくべき時である。ある案件を担当する社員が、すでに似たプロジェクトを担当した経験のある同僚と一緒に仕事を進めていく、というのはよい例だ。そうは思えないかもしれないが、こういった試みはよりよいよい刺激を与え、創造力を高め、チームメンバーの絆を深める。

また本来、ひとりで進めることができる案件であっても、共同で進めることを考慮してもよいだろう。もちろん、絶対に必要ではないのに誰かと共同で仕事を進めることで、ときに仕事のペースが遅くなる可能性もある。しかし、長期的にみれば、大変有益にもなり得るのだ。

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texte : Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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