現代中国史の闇にスポットを当てる超大作『死霊魂』。

Culture 2020.08.12

漆黒の歴史の生還者に対峙、ワン・ビン執念の証言記録。
『死霊魂』

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組織内の私怨や員数合わせでも、「右派」の判が押されれば辺境の再教育収容所へ。大飢饉と重なり、洞穴のねぐらは餓死が日常化。1957年から数年の中国の出来事だ。数少ない生き残りの、風雪に埋もれた記憶が幾層もの声となって呼び合い、響き合う。興に乗って地獄巡りの冒険譚めく語りが、ふと苦しげになる。死者たちの「無言」を背負い、朽ち果てる前に語っておかねば、という強靭な意志。大往生した生還者の棺を、息子らが自力で山頂に運んで土葬するシーンが胸に迫る。収容所跡の野ざらしの人骨と、それは痛切な対照をなす。

『死霊魂』
監督/ワン・ビン
2018年、フランス・スイス映画 506分
配給/ムヴィオラ
渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国にて公開中
http://moviola.jp/deadsouls

*「フィガロジャポン」2020年9月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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