「おじさん」的な価値観に抵抗する、松田青子初の長編。
Culture 2020.08.15
この国から「おじさん」が消えてくれたら。
『持続可能な魂の利用』
松田青子著 中央公論新社刊 ¥1,650
セクハラで退職に追い込まれた敬子は、自衛のためピンクのスタンガンを持ち歩いている歩と親しくなる。笑わない女性アイドルにハマったことで、社会にはびこる「おじさん」的な価値観に魂をすり減らしてきた女性たちと連帯して、レジスタンスを企てることに。セクハラにパワハラ、低用量ピルや少子化の問題、女性を人間扱いしない「おじさん」的な価値観を列挙して、女性たちの生き辛さの正体を可視化してみせる。コロナ後のいまに刺さる問題作。
*「フィガロジャポン」2020年8月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI