学校に行く夢を見る。その意味とは？

とっくの昔に学校を卒業したのに、教室や先生、黒板、叱られた思い出まで、学校にまつわる夢を見ることがある。そんな夢が意味するものとは？　夢解釈を専門とする精神分析医に聞いた。

何年も前に卒業したのに、学校時代が夢に現れることがある。photo : iStock

「黒板に書きなさい！」。この言葉を聞かなくなってずいぶん経つのに、なぜか夢の中で小学校の教室にいる。「こうした夢を見るのはノスタルジーからではありません」と言うのは、夢解釈を専門とする精神分析医のトリスタン＝フレデリック・モワールだ。実は、学校に行く夢を読み解くと、集団の中で自分自身をどう捉えているかがわかるという。詳しい説明を聞いてみよう。

人生の試練

チクタク、チクタク。時計の針が進む。あなたは机に座って、マーストリヒト条約以後のヨーロッパの統治体制について小論文を書き上げるべく頭を絞っている。恐怖の時間か、チャレンジの時間か、捉え方は人それぞれ……筆記試験の夢は、誰もがよく見る定番のひとつ、とモワールは言う。特に疑問を抱えている時に見ることが多い。「試験の夢は、プライベートや仕事上で正しくない立場にあると不安に感じているサイン」とモワールは指摘する。「夢の試験に失敗することは、人生の試練に失敗することに繋がるわけです」

しかも私たちの無意識が選ぶのは普通の試験ではない。一般的に夢に見るのはバカロレア試験（フランスの高校卒業資格試験）のことが多い。「バカロレアの短縮形であるBACという言葉は、本来、対岸へ渡るための渡し船の意味。バカロレア試験は自己肯定のステップの象徴なのです。大人になり、自分も社会の一員だと実感する時期です」と精神分析医は解説する。

一生懸命取り組んだ試験の結果が出る前に目が醒めることもあれば、夢の中で成績表を受け取ることもある。なかには合格者リストの中に自分の名前を探し続け、ようやく優秀な成績で合格したことを知るという夢を見る人も。「書かれた名前は私たちのアイデンティティに相当します。自分が集団の一員として存在していることを証明するものです」とモワールは言う。「このようにハラハラする夢は、不安がる必要はない、という暗示であることが多いのです」

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感情にブレーキをかける数学

数学の問題を解く夢を見ることもある。695.37の平方根は？　そんな問いにあなたの頭はヒートアップ。残念なことに、手元に計算機はない。数学が苦手な人は少なくないが、睡眠中まで私たちを困らせてくれるとは！　ところがうれしいことに、この夢は私たちに助言を与えてくれているらしい。「数学の問題には必ず論理的な回答があります」とモワールは分析する。「数学の夢は、感情に囚われすぎず、実利的に生きなさいというメッセージです」

教師は自己や他者の投影

自分自身のほかに、学校の夢に出てくる主要な登場人物といえば、教師。小学校の先生であれ、中学校の先生であれ、教師といえば現実でも夢の中でも権威を体現する存在だ。ただし夢に現れる教師には、別の意味も隠されている。夢の中の教師は、両親や上司を象徴しているという。「厳しい教師が出てくる夢は、親や上司から強いプレッシャーを受けたことがあるなど、人間関係で苦しんだことを示唆しています」

教師と会話を交わす夢を見たら、相手の態度に注目してみよう。教師の身振りや話し方を覚えておくといい。「自分自身の投影ということもあるので、後々カウンセリングで役立つことがあります」とモワールは言う。

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無遠慮な言動に気をつけて

頻繁に見ることはないものの記憶に残るのが、裸で校庭にいる夢。こうした夢を見たからといって、あなたの心の奥に露出狂願望が潜んでいるわけではないから心配は無用だ。「人前で無遠慮に素の自分を出してしまう人がいますが、あからさまに自分を“さらけ出す”と周りが困惑することもあります」とモワールは説明する。「裸になる夢は、遠慮のない言動を慎んで、集団の文化コードに配慮しなさいと助言してくれているのです」。しっかり覚えておこう。

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