マヤ文明の記憶を伝える泉『セノーテ』の映像に浸って。

Culture 2020.09.21

記録映画の射程を超えた、おおいなる充溢と覚醒感。

『セノーテ』

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恐竜を絶滅させた巨大隕石衝突時の痕跡とされ、円弧状に点在するメキシコ・ユカタン半島の陥没穴。地下水の侵食と相まってそこにできた天然の泉を「セノーテ」と呼ぶ。怪物的巨匠タル・ベーラの愛弟子の小田香が、マヤ文明の貴重な水資源だったこの未踏の泉に自ら潜ってカメラを回す。雨乞いの生贄の場で、黄泉に通じるという洞窟が、濃紺と翠玉色の綾模様に揺らめく水中界。ノミで彫ったような古代的な顔立ちに、柔和な笑みを湛えた女と男が暮らし、語り部となる地上界。継承される神話や、支配者に奪われた記憶が朝の光に溶け、泉の水面に安らうよう。

『セノーテ』
監督/小田香
2019年、メキシコ・日本映画 75分
配給/スリーピン
9月19日より、新宿ケイズシネマほか全国にて公開
http://aragane-film.info/cenote

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2020年10月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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