北欧の巨匠が贈る、愛に満ちた『ホモ・サピエンスの涙』。

Culture 2021.01.16

底冷えのする白の画肌から、愛と祈りの温気が立ち昇る。

『ホモ・サピエンスの涙』

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銀灰色の微光を放つ戦火の焼け跡の街を、後ろ抱き姿のカップルがシャガールの絵のように空中遊泳して一望する。ドイツ・ケルン市の廃墟の眺めを精巧なミニチュアセットに蘇らせ、手作りの特撮を駆使した成果。スウェーデンの異才はこんなワンシーンワンカットの掌編を33個、数珠繋ぎにする。たとえば、ひなびた教会の信徒に神父は聖体拝領のパンを施す。失いかけた信仰に悩み、人知れずワインを一杯ひっかけて。現代の悲喜劇を内包した日常と超現実の淵から、人懐っこさが匂い立つ。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。

『ホモ・サピエンスの涙』
監督・脚本/ロイ・アンダーソン  
2019年、スウェーデン・ドイツ・ノルウェー映画 76分
配給/ビターズ・エンド
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開中
http://bitters.co.jp/homosapi

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2021年1月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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