大草原の家族を描く美しいチベット映画『羊飼いと風船』。
Culture 2021.02.07
文化を継承しつつ変転する、草原の牧畜生活の“いま”。
『羊飼いと風船』
タルギェとドルカルの若夫婦は、三世代同居の牧羊一家だ。父が羊の群れを追う。子らが草原に戯れる。日々の暮らしが大地の鼓動と直に繋がる。同時に、都市型の経済や知見が家族に変化を促してもいる。遥かなる時を紡いで変転する家族の現在を、流水のごとく清冽に、なおかつ泰然と、チベットの名匠が「生け捕り」にする。好々爺の面立ちの祖父が逝く。輪廻転生というこの地の伝統の死生観が、出産か中絶かの母の選択に負荷を与える局面の、女性目線の演出も細やか。喪が明けた爺さんの魂のように、赤い風船が舞う。各々の見上げる視線。簡潔無比にして麗しい。
『羊飼いと風船』
監督・脚本/ペマ・ツェテン
2019年、中国映画 102分
配給/ビターズ・エンド
1月22日より、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開
www.bitters.co.jp/hitsujikai
※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。
監督・脚本/ペマ・ツェテン
2019年、中国映画 102分
配給/ビターズ・エンド
1月22日より、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開
www.bitters.co.jp/hitsujikai
※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。
*「フィガロジャポン」2021年2月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO