片岡礼子と齊藤工の夢が紡いだクレイアニメ『オイラはビル群』完成!
Culture 2021.04.08
WOWOWプライムにて2021年1月16日に放送された「次の窓をひらく〜齊藤工×片岡礼子×クレイアニメ〜 」では、俳優・映画監督の齊藤工が憧れの女優・片岡礼子とフィガロジャポンの連載「活動寫眞館」で出会い、片岡の夢をともに叶えるチームとしてタッグを組んで『オイラはビル群』というクレイアニメをつくる過程が紹介された。
そして遂に、『オイラはビル群』が完成! 3月31日より、WOWOWオンデマンドにて配信がスタートした。
完成した『オイラはビル群』を観たふたりはこう語ってくれた。
「長年想像していた思い入れのあるお話であり、キャラクターのビル群は何度となく描いたりしたことがありましたが、実際に絵コンテを見せていただき、造形となり撮影されている写真を観た時、ビル群の顔が想像とあんまりそっくりで、眼の中の光まで感じることができて、まさに、産まれた!!!と思いました。
初めから完成まで齊藤さんの揺るぎない作品ファーストの精神に導かれ、惹かれていまにいたります。その奇跡の瞬間瞬間に私はずっと感謝しています。このビル群が歩いていく先を一緒に見届けられたらうれしいこと、この上ないです」(片岡礼子)
喜怒哀楽たっぷりにアテレコにのぞむ片岡礼子。素のまま明るく、エネルギッシュな片岡の人柄に、周りにいる人々はパワーももらい、同時にサポートしたくなる。
そして片岡の夢を一緒に叶えた齊藤は、「紆余曲折あり、完成までに時間がかかってしまいましたが、同時に必要な時間だった気もします。片岡さんが暖めてこられた『オイラはビル群』は、この作品が必要な人々に届いて初めて本当の完成なので、ここからが始まりでもあります」(齊藤工)
『フィルとムー』でも、”言葉がないアテレコ“経験のある齊藤。秦俊子監督がつくった映像に思わず笑みがこぼれる。
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『オイラはビル群』では、一言も台詞は出てこない。ビル群はしゃべらないし、食べる時のもぐもぐ音と、おなかが空いて不快な時の憤りの呼吸など、ココロの動きが音となって出てくるだけだ。ただし、「言葉」を介さなくても伝わってくるそのメッセージは強い。
いま地球上では自然とテクノロジーは共存していかなければいけないということ。
求めすぎずたくさん使いすぎず、少しでも持続できるバランスはどこか、みんなで一緒に考えることに未来があるということ。
誰かが不機嫌だったり不幸だったりすることは、まわりまわって他の誰かも同じように辛く寂しくなること。同時に、ささやかなことに幸せを見出す感受性は明るく伝播すること。
そのメッセージの強度を上げたのは、秦俊子監督のクレイアニメの技術とパッションだろう。
片岡は、「齊藤さんから、秦俊子監督と『フィルとムー』を制作した信頼関係とご縁を聞きしました。そして秦監督と齊藤さんvoiceのコンビでの前作『パカリアン』に魅せられ、私の家族ごと大ファンになってしまった。今回、ビル群の素材やイメージのために、常に可能性を広げながら、アニメーション制作の経験のない私に、さまざまなアイデアを提案してくださいました。そのやりとりも実に楽しく、クレイアニメの世界のファンになっていきました。秦監督の独特のテイストがあったからこそ、ビル群の性格の輪郭がよりしっかり創り上がったと思っています。また監督のチーム(パーツ制作部、照明部、撮影部、小道具、背景など美術部)が見事な編成で、こういった魅力的なクリエイターの方たちの制作中エピソードを聞いたので、チャンスがあったらみんなで制作日誌を書いてみたいです」(片岡礼子)
片岡と齊藤は「蠢く」ものたちの声を担当した。
「秦監督の優しい口調での、鋭利かつ的確なディレクションは、良いあんばいで自由と不自由を下さる。今回も、信頼と実績の秦俊子監督でした」(齊藤工)
秦監督は言う。
「片岡さんの原案やキャラクターデザインが元にあったので、いままでの自分の作風にはない、新しい色を出すことができたと感じています。1フレームごとに手間をかけたこともあり、どのシーンを切り取っても絵になる画面に仕上がっていると思いました。また、本作はセリフがないぶん音が物語っている部分も大きく、音にも注目していただきたいと思います。齊藤さんのおかげでしっかりとした制作体制で作品を制作することができ、とても感謝しています。片岡さんの思い描くビル群の物語を形にすることがこのプロジェクトの目標だったので、片岡さんに完成作品を気に入っていただけて本当に良かった、制作できて良かったと思いました。そして、とても優秀なスタッフの皆さんに参加してもらえたからこそ、素敵な作品に仕上げることができました」(秦俊子)
左から、齊藤工、秦俊子監督、ビル群の声を担当した中島トニー、片岡礼子。
誰かの強い気持ちや提案があって、賛同する仲間が集まって、技術を持ったサポーターが加わり、ひとつのクリエイションが完成する。
『オイラはビル群』のメッセージが、豊かな色彩あふれるアニメ映像とともにたくさんの地球人たちのもとに届きますように。
『オイラはビル群』
●監督・脚本・編集/秦俊子 ●原案・脚本/片岡礼子 ●企画・プロデュース/齊藤工 ●声の出演/中島トニー、齊藤工、片岡礼子 ●制作/アングル合同会社 ●製作・著作/WOWOW、イーストファクトリー
●視聴はWOWOWオンデマンドで。
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photos : YUIKO KOBAYASHI