非の打ち所がない英国紳士、フィリップ王配のスタイル。

Culture 2021.04.20

生涯を通して、エディンバラ公はセヴィル・ロウ仕立てのスーツ、カッティングのいいコートとユニフォームを着用した。情熱と、エレガンスと、慎み。非のうちどころのないそのスタイルを振り返る。

【写真】フィリップ王配の完璧なスタイルを振り返る。

210420prince-philip-00.jpg

ロイヤル・ウィンザー・ホース・ショーにて、自身のレンジローバーの上に立つフィリップ王配。(イングランド、1974年5月1日)photo:Getty Images

フィリップ王配といえば、波乱万丈の人生とそのユーモア、行き過ぎることもあった失言や毒舌、スポーツマンぶりやハイパーアクティブぶり、妻エリザベス女王との(時に簡単とはいかなかった)真実の愛で知られる。

だが、4月9日に99歳で亡くなった王配は、確かな服装センスの持ち主でもあった。そのセンスは、英国海軍の士官となるために学んだスコットランドのゴードンストウン・スクールの寄宿舎で培われたもの。

1947年に若きエリザベスと結婚した時、彼は自らの王家の数々の称号と、自分の宗教(アンドレアス・オブ・グリース王子、アリス・オブ・バッテンバーグ王女という両親から受け継いだキリスト正教会)を手放した。それだけではない、人目を引くスタイルという考えにも別れを告げた。妻に影を落とすようなスタイルはもってのほか。女王の配偶者となったとき、彼は、完璧で慎しみ深い服装によって、妻の永遠の支えになることを選んだのだ。

---fadeinpager---

確かで考え抜かれたチョイス

永遠の2番手というポジションを、彼はクラシックで完璧なカッティングによるワードローブという形で解釈した。確かで考え抜かれたチョイスは、例えば、ロンドンのセヴィル・ロウのさまざまなアトリエで仕立てさせ、長年の御用達テーラーであるジョン・ケントの手でフィッティングするスーツ。くたびれることなく何年もの間愛用できるツーピース。スティーヴンス・ブラザースにオーダーするシャツ、ジョンロブで作らせる靴。軍服は、デイヴィス&サンに託していた。

また、フィリップ王配はカジュアルスタイルでも完璧な着こなしを見せた。クリケットにポロ、さまざまなマリンスポーツを愛したスポーツマンは、それぞれのシーンにぴったりのワードローブを熟知していた。

1957年にイギリスで撮影された、ポロの試合でのモノクロ写真では、丸首のTシャツの上に縄編みのVネックセーターを重ね、チノのキュロットパンツ、革のロングブーツという出で立ちで腕組みしている。他にも、スポーツのシーンで、ディテールへの最新の気配りと、決してスタイリング上の過ちを犯さない才能を覗かせている写真が数々ある。

船上では、ネクタイも含め、海軍の厳格な制服を着ることが多かった。胸元を開けたポロシャツにリネンのパンツなどの夏の日のリラックススタイルも、丸い鼈甲フレームのサングラスで仕上げる。いつもそこには、ディテールへのセンスが光っていた。

---fadeinpager---

ハリー王子よりもスタイリッシュ

2016年、94歳の時、彼は英国版「GQ」マガジンが選んだ「英国で最もおしゃれな男50人」ランキングで12位につけている。これは同ランキングの38位につけている孫のハリー王子よりもずっと上位だ。

「GQ」は完璧なスタイルを評価する雑誌だが、フィリップ王配は遊び心も忘れていない。子どもっぽいモチーフの靴下や道化師のような衣装という意味ではない。1951年にカナダを訪問した時には、チェックのシャツに裾を折り返したワイドなジーンズを合わせ、首にスカーフを巻いたスタイルを見せた。

また、ハワイアンシャツも、鼈甲の丸いサングラスを合わせてしばしば着用している。そしてもちろん、エディンバラ公の名にふさわしい、キルトも忘れてはならない。ただし、フリースにだけは、絶対に手を出さなかった。

text:Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories