生理用品、どう選ぶ? フランス女性が注目するのは...

Culture 2021.04.29

生理用品、何に注目して選んでいますか? フランスではある出来事がきっかけで、女性の生理用品の選び方が変わってきたといいます。「生理の貧困」とともに、フランス人女性をとりまく生理用品にまつわる問題を、パリ在住ジャーナリスト、レベッカ・ジスマヌがレポートします。

【関連記事】生理用品は贅沢品? フランスの「生理の貧困」の背景。

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文/レベッカ・ジスマヌ(パリ在住ジャーナリスト)

女性は一生のうち約39年間、ほぼ毎月生理があるといわれている。つまり、生理用品は女性が毎月使用しなければならない必要不可欠な衛生用品のはずなのだが、フランスでは生理用品の成分開示は法律では義務付けられていない。

フランスで女性たちがこのことに注目し始めたのは2015年ごろ。健康で若い女性がタンポンの長時間使用によるトキシックショック症候群(TSS)で手足を切断せざるを得なくなったり、命を落としたりした、というニュースが取り上げられるようになったのだ。それ以来、「自分が使っている生理用品が何でできているのか」は、多くの女性の関心ごと。2017年の世論調査では、フランス人女性の10人中8人が、生理用品の少なくとも1種類のものにはリスクがあると懸念している、と答えたという。

関心の高まりを受け、翌年フランスの食品環境労働衛生安全庁は生理用品の成分調査を実施。その結果、人の健康を害する割合ではないものの、生理用品の一部に望ましくない化学物質が含まれていたことが判明した。同庁は生理用品のメーカーに対し、商品から化学物質を削減または排除するよう勧告した。

しかしメーカーは、パッケージに成分を表示する法的義務は負っていない。生理用品は直接身体に触れるもので、特に殺虫剤や内分泌かく乱物質に汚染されているとアレルギーを引き起こす可能性があるにもかかわらず、だ。

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とあるスーパーで売っている、オリジナルブランドの商品。使い方の説明や、長時間使用しないように、という注意書きはあるものの、成分表示は見当たらない。photo : Rebecca Zissmann

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生理用品の選び方が変わった

このような社会的関心の高まりは、フランスの女性たちに、生理用品の選び方を考え直すきっかけを与えた。

2016年、ある調査では、回答者のほとんど(91%)が生理ナプキンとタンポンを組み合わせて使用しており、9%が月経カップの使用していると答えていた(主に25歳から34歳の女性)。なお、生理ナプキンのみの使用は21%だった。

その後、吸水性に富み、繰り返し使える洗濯可能な生理用ショーツや、オーガニック素材のナプキンやタンポンなど、新しい生理用品が市場に登場。従来の商品と一緒にスーパーでも販売されるようになった。さらに若い世代の環境問題への関心の高まりも相まって、使い捨てではない月経カップの使用も拡大している。 2020年の調査では、月経カップの販売数は昨年と比較して55.4%増えたという。

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店頭に並ぶオーガニック素材を使った生理用品。パッケージには「Bio」や「ORGANIC」の文字が。 photo : Rebecca Zissmann

私の周りでも、生理用品の選び方を変えたという友人は多い。私の友人のマーシャ(28歳)は成分表示をより気にするようになり、できるだけシンプルの生理用品を選ぶようになったという。私自身もタンポンの使用を見直し、夜は生理用のショーツを使うようになった。もちろん、これは前述のニュースによって、TSSにとても敏感になったから。

タンポンは本来、就寝時など長時間付けっぱなしにするには向いていない。しかし残念ながら、いまでもその危険性をはっきりと消費者に伝えることなく、多くのブランドがナイトラインのタンポンを宣伝している。

フランスの食品環境労働衛生安全庁は、生理用品メーカーに対し、タンポンや月経カップの長時間使用によるリスク、TSSについての情報を、消費者に提供するよう推奨している。しかし、法律が整備されていない現状では、自分の健康は自分で守るよう、最善を尽くすしかない。

フランスでは生理について語るのはいまだにタブーであり、生理用品のテレビ広告で生理の血をが赤い、という当たり前の情報をありのままに紹介するようになったのは、2018年になってからだ。

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レベッカ・ジスマヌ

パリを拠点に活動するジャーナリスト。日本にも滞在経験があり、日本映画の大ファン

 

texte : Rebecca Zissmann

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