ステイホームのGWに読みたい、お薦めの3冊!
Culture 2021.05.04
読んだら、きっと忘れられない小説になる。
『星の時』
マカベーアはリオのスラム街にやってきた天涯孤独のタイピスト。貧しくてホットドッグばかり食べているから、やせっぽちであてもなく生きていた。名もなき女の子の人生をどうしたら物語ることができるのか。語り手のロドリーゴの存在が、この小説を無垢な魂に捧げられた祈りにしている。もしかすると、それはあなたかもしれない。目を凝らしても見えないくらい小さな星が、読み終えると胸に灯る。ブラジルのヴァージニア・ウルフといわれる作家の傑作。
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大人の遠足も短歌を詠めば、さらに楽しい。
『短歌遠足帖』
どこかに一緒に出かけて、短歌や俳句などの作品を作ることを「吟行(ぎんこう)」という。歌人の東直子、穂村弘のふたりが、岡井隆、朝吹真理子、藤田貴大、萩尾望都、川島明を引率して鎌倉や東京タワーに出かけて短歌を詠む。果たして、あの人はどんな短歌を詠むのか。31文字に、個性と持ち味が凝縮されるおもしろさ。目の前のなにげない風景も、短歌を作るモードだと奥深く思えてくるから不思議だ。ゆるりと楽しい大人の遠足が、宝探しの楽しさを帯びてくる。
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モードに偉大な足跡を残した加茂克也の世界。
『KAMO HEAD』
日本を代表するヘアメイクアップアーティストとして、世界各国のモード誌や広告で活躍。惜しくも2020年に54歳で亡くなった、加茂克也の作品集。フェンディやシャネルのキャンペーンビジュアルをはじめ、コム デ ギャルソン、アンダーカバーとのコラボレーションで生まれた作品220点を収録する。鳥の羽根や毛皮を使ったアーティスティックな世界観は、唯一無二の輝きを放っている。
*「フィガロジャポン」2021年6月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI