ハリー&メーガンが敬愛するブレネー・ブラウンって?

Culture 2021.06.09

「自分の物語をつくる」ことをすすめる研究者が、ハリー王子メーガン夫人に大きな影響を与えているという。自己啓発界のスターの横顔を紹介する。

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アメリカ人研究者ブレネー・ブラウンは、サセックス公爵夫妻の“教祖”的存在らしい。(2012年9月13日)photo : Getty Images

「傷つくことを恐れて、自分の皮をあまりにも硬くしてしまえば、何も感じることができなくなってしまいます」と彼女は声高に主張する。サセックス公爵夫妻のアメリカへの出発(とメディアを大きく賑わせたオプラ・ウィンフリーによるインタビュー)の動機となった理由を知るには、ふたりの“教祖”ともいうべき存在、ブレネー・ブラウンの哲学に目を向けるといい。

オプラ・ウィンフリーは彼女を「ソウルシスター」と呼んでいる。彼女の「傷つく心の力」についてのTEDトークは、2010年に発表されて以来、5300万人の視聴を記録し、世界で最も視聴されるスピーチになった。

インスタグラムのコミュニティは350万人のフォロワー数を誇る。そして彼女は、2019年にNetflixから講義「勇気を出して」が配信された初めての女性研究者でもある。

すすめるのは、「自分の物語をつくる」こと。王家に対する不満をメディアに語ろうとするサセックス公爵夫妻が取り入れたと思われる哲学だ。

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「私たちは彼女を敬愛しています」

 

 

「研究者。ストーリーテラー。テキサス女性」――ニューオーリンズ出身で、自己啓発界のスターとなったブレネー・ブラウンのウェブサイトで目を引くのは、こんな言葉。

お気に入りのテーマは、勇気、傷つきやすさ、恥、共感だ。「傷つくことを経験しなければ勇気を感じることはできない」と55歳の彼女は強調する。

そのモットーは? もちろん、「快適さの前にまず、勇気」。サセックス公爵も表明するメッセージだ。

バーチャルイベントに参加したとき、対話の相手が5冊のベストセラーの著者でもあるブラウンの名前を引き合いに出したとき、ハリー王子はこう賞賛した。「ブレネー・ブラウンとトリスタン・ハリスの名を引用していただいて嬉しいですね。我々ふたりが敬愛し、知っている人物でもありますから」

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オプラ・ウィンフリーの「ソウルシスター」

メーガン夫人は、英国「ヴォーグ」のゲスト編集長を務めた号で、ブレネー・ブラウンに記事の執筆を依頼している。オプラ・ウィンフリーは、2013年に既に、テレビ番組「Super Soul Sunday」にブラウンを招いて対談し、その著書『Daring Greatly : How the courage to be vulnerable transforms the way we live, love, parent, and lead(大胆な挑戦:傷つく勇気が、生き方、愛し方、親として、リーダーとしてのあり方をどう変えるか)』を紹介している。

多様な分野のセレブに信奉される彼女は、 MeeToo運動の起源となった活動家タラナ・バークとともに、傷つくことと立ち直る力をテーマにした文集「You are Your Best Thing」を編さん。また、「人類の普遍的な経験を反映」する作品をテーマにした「Unlocking Us」と、「革新的でクリエイティブで、あえて先頭に立つことを選んだ」人物たちとの対話シリーズ「Dare to Lead」というふたつのポッドキャストも立ち上げている。

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25年間の断酒

ヒューストン在住。配偶者は小児科医のスティーヴ・アリー。1999年に生まれたエレンと2005年生まれのチャーリー、そしてマルチーズ犬ルーシーとともに暮らすブラウンだが、サセックス公爵夫妻の“教祖”は以前から平安な暮らしをしていたわけではない。

「今月、断酒23周年を祝いました」と、彼女は2019年5月にブログに書いている。「『成功のレシピは』ときかれたとき、まず頭に浮かぶのは、断酒です」と講演でも語っている。

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きっかけ

きっかけは1996年だった。ブレネー・ブラウンはオースティン大学でソーシャルワークの修士課程を修めようとしていた。卒業プロジェクトのテーマは、患者が自分の家族の歴史と関係性を精神的に視覚化できるようなツールを作り上げること。

このプロジェクトのために、自分の母親と1時間ほど語り合った後、彼女は、「依存とメンタルヘルスの問題」が自分の人生をむしばんでいることを実感し、アルコール依存症患者のための自助グループに参加する。

その後、サセックス公爵夫妻のような、「リッチな有名人」たちのアイドルになったのだ。

text : Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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