言葉とグラフィックを美しく操る表現者、ココ・キャピタン。

特集

自分を偽ることなく、ありのままの想いを言葉とアートに託して発信するココ・キャピタン。彼女のクリエイションの背景にある美学とは?


写真から油絵、インスタレーション、映像、そして独特の字体で紡がれた手書きの言葉まで、ココ・キャピタンの表現手段は幅広い。2017年のグッチとのコラボレーションで、コレクションにフィーチャーされた彼女の言葉を記憶している人も多いだろう。さまざまな表現方法を巧みに使い分ける理由を、「あふれ出る想いは多岐にわたっていて、それぞれ異なる方法で伝えていく必要があるから」と、彼女は説明する。

「幼い頃から、本を読んだり文を書くのが大好きだった。心の中に浮かんだことを文字にするのは、長く親しんできた自己表現」

日常の中で目に留まった事柄をもとに湧き上がるシンプルでダイレクトな呟きや問いかけは、アイデアを構築して制作するアートではなく、淡々と綴る言葉での表現がもっともしっくりくるという。そうして紡がれる静かながらも味わい深い言葉の数々は、読み手の心を捉えて離さない。

地下鉄の構内でふと見かけた情景からワンシーンを切り取って、その出来事を順序立てて書く。脈絡がなかったとしても、心に浮遊する言葉をそのまま抽象的に記す。

「その時感じたことを自由に書き連ねる。私の思うままに。だから具体的だったり、漠然としていたり……ルールは何もないの」

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あなたはかなり奇妙なテイストを持っている。
私はあなたが好き。

ココの言葉からはさまざまな解釈ができるが、すべて受け手に委ねているのだという。

「自分の状況や気持ちを重ねて、パーソナルに読み解いてほしい。みんながまったく異なる解釈をしたとしても、それはむしろ自然なこと。多様な考え方があることを知るのは、私の喜びでもある」

言葉を受け取る読み手も想定していない。どんなバックグラウンドでも、年齢でも、男性でも女性でもいい。人を型にはめて捉えたくはないし、常にオープンでいたいと考えている。

「言葉を綴ることに比べると、写真はシーンを切り取る現実的な表現方法。だから、写真は手を加えて編集して作品にしていく」

とはいえ、ココの写真は素直で率直で、文字の表現と通ずる美意識を感じる。「人間が、人間らしくあることに美を感じる」と語る彼女らしく、被写体のありのままの姿を捉えている。彼女が繰り返しテーマとする瑠璃色の海の中で、ありのままの姿の人たちは窮屈な何かから解き放たれたかのようだ。

「人間は、身体も心も自由でいることが美しい。そんな美を見極めるために、私自身も物事に捉われずに生きていきたいと思う」

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Coco Capitán|ココ・キャピタン

1992年、スペイン生まれ。17歳でロンドンに移り、王立芸術大学院卒業。言葉の本『If You’ve Se en It All. Close Your Eyes』(CHOSE COMMUNE 刊)、写真集『Naïvy』(Maximillian William 刊)など、トゥエルブ・ブックスで取り扱いあり。

*「フィガロジャポン」2021年7月号より抜粋

text: Miyuki Sakamoto collaboration: twelve books

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