前を向いて生きる女は美しい コスメ開発も映画『HOKUSAI』の脚本も。河原れんの多彩さ。

Culture 2021.06.19

近年、美容界は“美肌菌”ブーム。数々の発酵系スキンケアが登場したが、なかでもじわじわとユーザーの心を掴み、リピーターを増やしているのが、ソフィスタンスだ。その開発リーダーである河原れんは、作家としての顔ももつ。間もなく公開される映画『HOKUSAI』では、企画・脚本を務めている。多彩な活動に隠された、共通する熱い想い。河原れんの未来は、これからも明確な使命感に突き動かされ、さらに枝葉を広げていく。

Len Kawahara|作家/バイオセラピスト

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「ソフィスタンスは、もともと私自身や身近にいる人々の肌荒れを治したくて自宅の小さなラボでコスメ作りを始めたのがきっかけ。それが驚くほど良くて、周囲にお勧めしていたら共感してくれる人が少しずつ増えて。そのひとりがモデルの鈴木えみさん。彼女にテクスチャーやパッケージのディレクションをお願いしながら、製品化にいたりました。当初、私がラボで作っていたものは安定性もなく、高いクオリティで供給できる発酵素材を見つけるまでの道のりは大変で。日本中を探し回る中で、二百年受け継がれてきた古来の手法で、発酵液を5年も熟成させる技術をもつ職人さんを見つけたんです。出合った時に、これだ!と」

2105xx-len-kawahara-01.jpg職人への敬意から食器は作家のものを愛用。平皿は池田優子、湯のみは野口寛斎の作。

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コスメも映画も、私にとっては、同じ“作品”。

『HOKUSAI』で描かれている葛飾北斎は、言わずと知れた天才絵師。のちにゴッホやモネといった印象派に影響を与えた世界的なアーティストだが、彼の生涯に関する資料はほとんどない。

「浮世絵は量産できるがゆえに、当時はあまり文化的価値を見いだされていなかった。だから北斎に関する記述は乏しいんです。日本の職人技術の素晴らしい点はいくつもありますが、そのひとつがハイクオリティなものを日常のアイテムとして量産できること。ただ、北斎同様、希少価値が低いため、評価されにくい。最近は、日本の工芸品にファッションメゾンが注目したり、海外のセレクトショップに民芸品が置かれていたり、少しずつ日の目を見つつありますが、もっとアートとして評価されるべきです。私にとっては発酵液もそのひとつで、職人の手によって生まれた素材が、コスメという“作品”になって、国内はもちろん世界に広がり、多くの人の手に渡ればいいな、と」

その言葉どおり、ソフィスタンスは今夏、海外へと販路を拡大する予定。各国のバイヤーの目に留まり、先方から声がかかったのだそう。誠実に積み上げてきたものが誰かの心に響き、広がりを見せている。

2105xx-len-kawahara-02.jpgスキンケアへの探究心は高まるばかり。

「ここ数年、日課として取り入れているのが座禅。ストレッチと腸マッサージをしたら座禅を組み、最後に白湯を飲むという30分くらいのルーティーンです。これをする日としない日では、引き寄せのパワーが違ってくる。よくたくさんのことを同時進行していて混乱しないかと聞かれますが、今の自分を俯瞰する“もうひとりの自分”、いわゆるメタ認知を座禅によって持つことで、忙しい日常のなかでもひとつひとつの物事にちゃんと向き合えるようになりました。さまざまなことに携わっていると迷うこともあるし、すべて完璧にできるわけじゃない。でも、ひとつのもつれた糸がほぐれると、同じタイミングでもう一方の糸もほぐれる、ということがよくあります。ソフィスタンスと『HOKUSAI』もまさにそう。いまは私の中に“日本の良いものを世界に発信したい”というクリアな使命感があるので、これからもさまざまな形でそれを実現させていきたいですね」

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ゆらぎ知らずの肌に導くソフィスタンス スキンケアシリーズ。

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5月28 日公開の『HOKUSAI』では企画・脚本を担当。

河原 れん
「美しい人とは?」の問いに、「洗練された遊び心を忘れない人。年齢や性別に自分を押し込まずに生きている人。一日一日を大切にし、生きることへの感謝がある人」とし、「La culturacura(文化は心を癒やす)という言葉が好き」と語る河原れん。音楽や絵、写真、本など、アートを日々の暮らしに取り入れることで心を満たし、感性や直感力を磨くよう努めているそう。

*「フィガロジャポン」2021年7月号より抜粋

photography: Koichi Tanoue hair & makeup: Nobuyuki Shiozawa (mod’s hair) editing: Sachico Maeno

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