東京五輪に来日する37歳、サッカー界"前人未到"の女性審判。

Culture 2021.06.28

37歳のフランス人女性が、UEFAチャンピオンズリーグ大会史上初の女性主審になった。164cmの彼女は、サッカーの世界で多くの扉を開いてきた。

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プロのサッカー審判員のステファニー・フラパール。2021年1月発行の仏スポーツ新聞『レキップ』は彼女を「フランスサッカーの重要人物30人」のナンバー1に選んだ。 photo : ロイター/アフロ

ステファニー・フラパールはサッカー界のパイオニアだ。男子ワールドカップの予選で審判を務めた初の女性であり、2020年12月に行われた欧州チャンピオンズリーグ、UEFAネーションズリーグ、UEFAスーパーカップ、フランス1部リーグと2部リーグ等々……の主審を務めた最初の女性でもある。彼女の深く黒い瞳は一切の妥協を許さず、手を上げてレッドカードを提示する姿はいかなる異議をも退ける。彼女について語る時ことは尽きない。この度、6月11日から7月11日まで開催される男子欧州選手権で予備審判、四番目の審判員を務めることになった。女性が任命されるのは初めてのことだ。アディショナルタイム、交代選手のボードを掲げるのは彼女になる。

1月にステファニー・フラパールは仏スポーツ紙『レキップ』の「フランスサッカーの重要人物30人」のナンバー1に輝いた。キリアン・ムバッペ、ディディエ・デシャン、ジネディーヌ・ジダンまでをも差し置いてだ。仏『ル・モンド』誌の最近のインタビューでは、パイオニアという地位に関して「最近はあまり気にしなくなった」と語った。

「やっと目立たなくなってきました。私にとっては好都合です」

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異なるアプローチ

ステファニー・フラパールは1983年にパリ郊外のヴァル=ドアーズ県、プレシ・ブシャール市で生まれた。10歳の時にエルブレー・スポーツクラブでサッカーのライセンスを取り、9年後パリを含むイール=ド=フランス地方の試合で審判の世界に足を踏み入れる。

「審判というのは、まるで人生について多くを学ぶ学校のようです。素早い決断力、責任感、自分の性格を鍛える訓練などです」とエルブレー市のホームページでのインタビューで語っている。

「この業界に女性として参加するのは、プラス面しかないと信じています。女性であることによって、男性同士で起こり得る力関係ではなく、異なるアプローチを提供することができるからです」

2014年に2部リーグでデビューし、2019年に初めて1部リーグの芝生を踏んだ。同年、欧州スーパーカップで笛を吹いた最初の女性審判となった。「2ヶ月で2つの目標を達成できました」と当時彼女はAFP通信に語っていた。

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名誉と責任

現在、ステファニー・フラパールは1000人を超えるフランス人の女性審判の中で、フランスの最も高いレベルで活躍している唯一の女性審判であり、この仕事だけで生計を立てている唯一の女性だ。

「これは特権であり名誉あり、そして責任でもあります。私が歩んできた道が、若い女性たちの審判になろうとする志の後押しとなることを願っています」と2019年に語っていた。細身で身長も164センチの彼女がテストステロン満載のこの世界で、どのようにグラウンド上の秩序を維持しているのだろうか。「抵抗する人はまだいると感じますが、暴言は以前より減りました」と彼女は答える。

SNSで彼女に対する女性差別的なコメントは絶えることがない。フランス杯の試合の際、オリンピック・リヨンの監督が公然と彼女を批判した後など、特にひどかったようだ。しかしそれらに対し、フラパールは動揺しない。グラウンド外の活動も積極的だ。スポーツ界での性暴力を暴露した女性被害者を公式にサポートし、2020年にはスポール・フェミナン・トゥジュール(Sport féminin toujours)というフランスのスポーツ省が始めた女性スポーツのメディア露出を増やすキャンペーンのスポンサーになった。優れた駆け引き能力、落ち着きと対話力が定評の彼女。欧州選手権の後は7月の後半から始まる東京五輪の女子・男子のサッカー試合でも審判を務める予定だ。

Texte: Emilie Lopes (madame.lefigaro.fr)

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