美しい投資術 Vol.2 投資を始める前に大切なのは、"生活防衛費"の確保。
Culture 2021.07.15
フィガロジャポン2021年7月号から新連載「美しい投資術」をスタートした、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。今回からさっそく、実際に投資を始めるためのアドバイスを伺います!
突然ですが、いま貯金はいくらありますか? 投資を始めるならまず、何があっても最低半年~1年は生活できる現金=生活防衛費を確保してください。貯金がない状態で現金をすべて運用に回してしまうと、急にお金が必要になった時、利益がマイナスなのに現金化……なんてことも。投資は長続きできないと意味がありません。貯金は月収の10%以上、実家暮らしなら30%を目指す気持ちで毎月一定額を決めて、強制的に。同時に毎月の固定費、支出の見直しをしましょう。
特に重要なのが保険の見直し。日本人の約9割が加入している医療保険や生命保険ですが、保険料は年平均40万円になるともいわれ大きな出費です。独身や既婚で子どもがいない共働き女性に生命保険は不要では? 家族の既往歴などで将来病気が心配でも医療保険は掛け捨てで十分。日本は高額療養費制度が整っていますから。貯蓄型保険は払い済みにして、浮いた保険料を投資で運用するほうが殖やせると思います。ちなみに、私は国民健康保険のみ、です。
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日々の支出も見直して!
ほかにも、携帯を大手キャリアから格安SIMに変更。使っていないサブスクや行かなくなったジムなどを解約。必要のない買い物はしない、といったことで月3~5万はセーブできるはず。その分を貯金または投資に回せます。私は音楽が好きなのでAppleMucicは欠かせないし、心が豊かになる買い物には価値があると思うので、その見極めが肝心ですね。ストレスで消費行動に走るのは、いちばん危険!
日本に来て感じるのは、フランス人の物欲の少なさと、生活はシンプルだけど豊かなこと。お金にシビアだからこそ、自分の未来と密接な政治への関心が高いのかもしれません。政治は、税制や金融政策など経済に直結。中高生でも政治の話をするし、お金に関する情報交換も積極的です。貯金や支出を見直すと同時に、自国の政治にも関心を持って、アンテナを広げる意識もしてほしいですね。
さて、生活防衛費の目途がたったら、毎月貯金できる額の60~70%を目安に投資を始めましょう。
廣田里那 LINA HIROTA
個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。資産運用の相談はHPから。
*「フィガロジャポン」2021年8月号より抜粋
text: Yoko Sueyoshi