美学を持つ人たちの選ぶ、美しい本。 「言葉を駆使した恋愛問答」の文字間に潜む美しさ。

美意識を育んでくれる一方、選ぶ段階からセンスが問われる映画・本・音楽。多方面で活躍する憧れの彼女たちが独自の観点で選んだ、主人公の生き方や洗練の描写など、至極の美を体現する作品を紹介。

モデルの小谷実由さんが選んだ1冊は穂村 弘、東 直子の著書『回転ドアは、順番に』。この作品に見いだされる美しさとは？

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文字間に宿る愛を、想像する楽しみ。

『回転ドアは、順番に』

穂村 弘、東 直子著　筑摩書房刊　¥638

「穂村弘さんと東直子さんの織りなす、恋愛往復短歌集。内容はもちろん、言葉の組み合わせや、ふたりの間で姿形を変えながらさりげなくループしていく言葉に、どきどきします。互いの中に必ず溶け込んでいる、互いの存在。小説よりも短い文字数で語られる短歌には、かえって情景が濃厚に凝縮されている気が。そこに含まれているものをひとつずつ解きほぐしながら読むことに、楽しさを見いだしています。言葉のリズムが美しいのはもちろん、多くが語られない分、その美しさを自分で想像するという過程によって、頭に“余白”が与えられる本です」。男女それぞれの視点から紡ぎ出される“言葉を駆使した恋愛問答”の濃密さに、どっぷりと浸って。

※『フィガロジャポン』2021年7月号より抜粋