コロナ禍でダメージを受けたカップルの関係、どう回復する?

Culture 2021.08.26

閉所性ストレス、ディスプレイの見過ぎ、欲望の低下……。カップルの生活は危機に陥っている。でもパニックを起こさないで! コロナ禍で受けたダメージを克服するために分析し、お互いを見つめ直し、愛を取り戻そう。

00-210823-couple-love-parade_0.jpg

カトリーヌ・ドゥマンジョ:「夕食の後にそれぞれの居場所に引き籠り、デバイスを使って個人で動画を見ることをいまこそ止めるべき時です」 photo:Getty Images

「恋の夏」の到来に、SNS上で喜びの声をあげながら、8ヶ月間の冬眠から解放された若き独身者たちのうっとりとした顔が映し出されている……。街のテラスでは、楽しそうにグループで席に座り、ともすれば集団でおしゃべりしている姿ばかりが目に付く。

静かに見つめ合うパリの恋人たちはどこに行ってしまったのか? おしゃれなレストランやバーでも彼らの姿を見かけることはほとんどない……。ましてや「安定した」カップルはさらに少ない。正直に言えば、30歳を過ぎた恋人たちは、ふたりとも自分たちの恋愛から気分一新するために出かけがちだ。いったい何が起きているのか? コロナ禍で相手と外で会うのが怖いという状況から、共に過ごす時間の中で「お互いを見過ぎてしまった」という感情的な問題が発生しているのかもしれない。カップル専門の精神療法医で、ポッドキャスト番組『私を愛しているのなら従って!』のクリエイターであるカトリーヌ・ドゥマンジョはこう語る。

「実際、この期間をとても良好な状態で切り抜けたカップルは非常に少ないです。劇的なできごとや別れる意志がなくても、ほとんどの人たちが互いに無関心の状態になりかけているのです。この数ヶ月の間に多くのカップルが、居心地よくふたりでいるがセックスレスである、仲間のような形に移行しています」

この状況について、あなたの心に訴えるものはあるだろうか? 「私たちはいままでにないほど幼稚になっています。私たちカップルもこのような可愛らしい段階に退行したのです。しかし官能の喜びを取り戻したいと願う、大人の生活を取り戻す時が来ています……」

---fadeinpager---

再び一緒に心を震わせたいという気持ち

間違いなく最初に緊急ですることは、この『カップル間における無気力』についてパートナーと話し合うことだ。これを言葉にするのは簡単なことではない。「バカンスはよい口実になります」とカトリーヌ・ドゥマンジョは提案する。「個人的にもカップルとしても、それぞれが何を望んでいるのか、現実的な事前分析になぜ時間をかけないのでしょうか? もちろん、 ToDoリストや『話さなくてはならない』という冷淡な態度ではなく、『自分の欲求』についての会話をするのです」

そしていくつかの欲求を語ることから、大きな意味での欲求というものについて、どちらかに、少なくともこの点にイニシアチブを取った方に、必然的にこの主題が浮かぶはずだ。この『再び一緒に心を震わせたい』という気持ちが現れた場合、どうすれば好ましい状況を作り出すことができるのか?カトリーヌ・ドゥマンジョは、私たちが忘れている、既に知っていたことを思い出させてくれる。通勤時間がなく、仕事と睡眠だけの地獄のサイクルを引き起こし、仕事や雑用、埋め合わせを優先させることに専念していた「お篭り」という自動操縦モードから脱出するのだ。

「『セルフケア』やマッサージ、性的な欲求、そして自分を美しいと感じることを思い出しましょう」。最もデリケートなことは、「リラックスして、誰も見ていない」という状態に相手がこだわる場合、自分もそれを受け入れることだ。

---fadeinpager---

愛し合うために囁く

カップルにはテレワークによる目に見えないダメージもあるが、これは早く解決した方が良いだろう。プライベートの空間への一時的な侵害については分かっている。しかしその後遺症については、私たちはあまり想像していない……。カトリーヌ・ドゥマンジョは、「カップルの会話に囁き声やひそひそ声、柔らかい声を再び取り入れる」必要性をまず強調する。

すべての電話やズーム会議によって、私たちは声をあげること、実のところを言えば「叫ぶ」ことに慣れてしまった。

「これは間違いなく欲望のトーンではありません。私たちはこれらの声を改めて見つけなくてはならないのです」。驚くべきことだが、非常に的確なことだ。徐々に進行しつつあるもうひとつの悪い習慣がある。パンデミックの前は、ふたりの関係に気を遣っていたカップルは、スマホやパソコンの使い方をコントロールして、一緒の時間を過ごしていた。しかし、家での仕事、息の詰まる情報収集、退屈によってすべてが打ち砕かれてしまった……。

「夕食の後にそれぞれの居場所に引き籠り、デバイスを使って、個人で楽しむ動画を見ることを、いまこそ止めるべき時です」とドゥマンジョは指摘する。良い映画を、ふたりで肩を並べて観るべきなのだ。

---fadeinpager---

家族の元に戻るという罠

最後に、少し言いにくいことだが、成長した子ども達の問題もある。2020年3月以降、「子どもたちと多くの時間を過ごしました」と人々は言う。大学生は1日中実家にいて、若きテレワーカーたちは20 m²の部屋から逃げ出して家族の元に帰ってきた。「再び子どもを養育する親の務めという予想外の『ボーナス』は、多くの人にとって素晴らしいものとして受け入れられました」

そうして両親は、互いに寛げる、だがあまりセクシーでも親密な感じではない関係性に戻った。子どものために時間を使うという昔の習慣に、身体が従ってしまったのだ。

「子どもが手離れして自分の楽しみを見つけていた人も、若い親だった頃の気持ちに戻ってしまった。私たちにはもうセクシーで親密な関係を取り戻す猶予がないのです!」

したがって、この夏は、ユースホステルを利用するのは少し控えて、もっと豪華で、落ち着いて、官能を楽しむべきなのだ。

text:Valerie de Saint-Pierre (madame.lefigaro.fr), traduction : Yuko Tanaka

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories