未来のベルギー女王、エリザベート王女の歩み。

Culture 2021.09.08

オックスフォードのリンカーン大学への入学を控えていることが明らかになったベルギーのエリザベート王女。次期君主として注目が集まる彼女の横顔を紹介しよう。

【写真】凛々しく美しきベルギー王女、エリザベート。

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ベルギーのエリザベート王女は、18歳の誕生日をブリュッセルの王宮で祝った。(2019年10月25日) photo:Getty Images

彼女の戴冠は、新しい時代の幕開けを告げるだろう。8月31日、ベルギー王室のインスタグラムで、2020年10月25日に19歳の誕生日を迎えたベルギーのエリザベート王女がイギリス・オックスフォードにあるリンカーン大学に入学することが発表された。投稿には、「10月から、エリザベート王女はオックスフォード大学のリンカーン大学で歴史と政治を学ぶ3年間のプログラムに参加します。なお、王女は定期的にベルギーに戻り、ベルギーの公的な活動に関わっていきます」と記されている。

 

 

彼女が即位すれば、同国史上初の女性君主が誕生することになる。2013年7月21日、祖父のアルベール2世が退位し、代わって父フィリップが国王となったことで、エリザベート王女はブラバント女公の位に就いた。これにともない、身近な人たちから「リザ」と呼ばれる王女は、ベルギーの王位継承順位第1位となった。中世に制定された王位継承の規定を定めた法典である「サリカ法」が1991年に廃止されたことで、女王が認められることになったためだ。

エリザベート王女は2001年10月25日、ベルギーのフィリップ国王(61歳)とマティルド王妃(48歳)の長女としてアンデルレヒトのエラスムス病院で生まれた。同年12月9日、彼女はシエルニョン城の礼拝堂で洗礼を受けた。ガブリエル王子(18歳)、エマニュエル王子(15歳)、エレノール王女(13歳)の3人のきょうだいとともにラーケン王宮で育てられた少女は、世間の好奇の目にさらされることなく、穏やかな少女時代を過ごした。

2003年には、伯父のロラン王子とクレール・コームスの結婚式に出席。初めて公式の場に登場したのはその3年後、王女が5歳の時、ベルギーの建国記念日の式典でだ。2007年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールと南極の観測基地プリンセス・エリザベス基地の模型展示会というふたつの公式イベントに参加し、プリンセスとしての第一歩を踏み出した。

2011年、10歳になった王女はゲント大学病院新棟の開院式典に出席。その1年後には、ベルギー北西部のエノー州にあるプロウグステエールで開かれた第一次世界大戦戦没者追悼式典で、初めて公の場でのスピーチを行い、その優れた能力の一端を世界の人々に知らしめた。ベルギーの公用語であるフラマン語、フランス語、ドイツ語で行われたスピーチは、いずれも完璧だった。

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フィリップ国王の足跡をたどる

エリザベート王女は、2017年までブリュッセルのマロール地区にあるサン=ジャン・ベルシュマン校に通い、模範生として学業にいそしんだ。16歳でウェールズに飛び立ち、カーディフ近郊にあるアトランティック・カレッジに進学。そこで(ほぼ)普通の青春時代を過ごした。ピアノに熱中する一方で、中途退学未然防止のための活動や高齢者・障がい者支援にも取り組んだ。最終学年の学習テーマは「教育による平和」と「社会への奉仕」。エリザベート王女は、同世代のティーンエージャーと同様に、まもなく受けるバカロレア資格試験の準備をしている。

卒業後の2020年8月31日、エリザベート王女はブリュッセルの王立陸軍士官学校に入学した。この2カ月前に、王室のプレスリリースやSNSで次のように発表していた。「王立陸軍士官学校に入校する準備が整いました! 8月31日から、クラスメートと一緒に1年生となり、社会・軍事科学を学びます。アトランティック・カレッジの先生方、そしてクラスメートのみんな、素晴らしい2年間をありがとうございました」

 

 

その後王室の広報担当は、王女が「エルゼンボルンの軍事キャンプで入隊訓練の段階に入る」とラ・ヴェニール紙に明かしている。「4週間後には、王立陸軍士官学校の青いベレー帽が与えられます。そして、学年の正式な始まりとなる2020年10月初旬には、ブリュッセルでパレードが予定されています」。エリザベート王女のクラスは20%が女性で、コミュニケーション、国際関係、地政学、マネジメントなどのコースを履修しているという。

18歳の誕生日を目前にして、王女の人生は新たな局面を迎えた。彼女の父親であるベルギーのフィリップ王は、メディアの注目が集まる場に、彼女の出席を増やしたいと望んでいる。

2019年5月4日、エリザベート王女は、ルクセンブルク大公ジャンの葬儀に参列。2019年4月26日には、ブリュッセルで行われた消防隊の訓練に、国王とともに参加した。その数週間後には、ユニセフ・ベルギー支部名誉会長としてケニアに訪問した母のマティルド王妃に同行。マティルド王妃は、「何事にもしかるべきタイミングがあります。娘にはいまは学生生活を存分に楽しんでほしいと思っています」と訪問中に語っていた。

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象徴的な式典

2019年10月25日、ブリュッセルの王宮は盛り上がった。エリザベート王女の18歳の誕生日を祝う式典が王宮の玉座の間で開かれ、その様子はベルギーのテレビで生中継された。少女は、ベルトでウエストマークした上品な白いコートを纏って、晴れやかな表情で登場。式典には彼女の同級生や先生に加え、王女の乳母、そして同年代の若者80人やベルギー王室のメンバーが出席した。

 

 

ベルギーで最も権威のあるレオポルド勲章グラン・コルドン章を受勲したばかりの長女を、マティルド王妃は涙を流して祝福した。それとは対照的に、エリザベート王女は動じることなく、「国のために使命を果たします」と誓いの言葉を述べた。彼女は間違いなく、父の足跡をたどっている。

text:Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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