クリスチャン・ボルタンスキーの国内初の大規模回顧展。

特集

人々の記憶と歴史が積み重ねられた、祭壇のようなアート。

『クリスチャン・ボルタンスキー ─ Lifetime』

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クリスチャン・ボルタンスキー『モニュメント』1986年、作家蔵。名もない子どもの肖像写真が、祭壇状のシンメトリーの配置と弱々しい明かりによって、特別な意味を帯びて浮かび上がる。

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クリスチャン・ボルタンスキー『ミステリオス』2017年、作家蔵。スケールの大きな映像作品としても知られている。

観る者を厳粛な沈黙に誘う作品を長年にわたり制作してきた、フランスを代表するアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー。1960年代後半より短編フィルムに着手し、70年代には、人類史や文化人類学への関心に基づき、写真や身分証明書といった個人の記録資料と衣服や文房具といった日用品を組み合わせた作品を発表する。80年代以降は、子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせた『モニュメント』シリーズで宗教的なテーマに取り組むようになる。自身もユダヤ系のルーツを持つボルタンスキーは、87年の代表作『シャス高校の祭壇』で、31年にウィーンのある高校に在籍していたユダヤ人の学生たちの写真を祭壇状に並べ、簡素な電球でほのかに浮かび上がらせた。大量の死者の存在、すなわちナチスによるユダヤ人虐殺の犠牲者たちのイメージを想起させるこの作品は、それまでの美術作品の概念を拡張し、社会的に大きな議論を呼んだ。

日本でも各地の美術館や芸術祭などで、その地にまつわる歴史と訪れた人々の記憶を呼び起こす作品を発表してきた。それらはいずれも体験後に粛々と内省を促し、ずっしりと重苦しいほどの深い「読後感」を残していく。鑑賞者自身と他者の個人的な記憶と、社会的な記憶ともいえる歴史には、未来永劫、消し去ることのできない死や不在が刻印されていることを意識させるのだ。国内初の大規模な回顧展となる本展では、展覧会をひとつの作品として捉える。広大な会場全体がインスタレーションとなり、同時に私的な礼拝堂の集積となることだろう。

『クリスチャン・ボルタンスキー ─ Lifetime』

会期:開催中~5/6 
会場:国立国際美術館(大阪・中之島) 
営)10時~17時(金、土は~20時) 
休)月(4/29、5/6は開館)
一般¥900 
tel:06-6447-4680 
www.nmao.go.jp

※『フィガロジャポン』4月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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