最先端を走り続ける女性芸術家の作品を、京都で体感!

Culture 2019.12.24

動物たちの振る舞いに学ぶ、物語の迷宮。

ジョーン・ジョナス『Five Rooms For Kyoto: 1972–2019』

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ジョーン・ジョナスのポートレート、2012年ニューヨークにて。作品の中に重要な役で登場する愛犬たちと。

 

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『OrganicHoney's Vertical Roll』。アーティスト自身がパフォーマンスを行った記録をもとに構成される前衛的な芸術表現の先駆的存在だ。

パフォーマンスとニューメディアを融合させた新しい芸術表現のパイオニアであり、83歳のいまもアートの最先端をフルスロットルで走り続けるジョーン・ジョナス。第34回京都賞受賞を記念し、国内最大規模となる個展を開催中だ。60年代末から70年代にかけて、鏡や小道具、衣装、映像、ドローイングを組み合わせたパフォーマンスアートの先駆者となった。グリム童話に構想を得た『ネズの木』(1976年)以降、文学や神話を源泉に、小劇場風のセットや屋外を舞台に、多層的で詩的な物語世界を展開。身体、ジェンダー、記憶、アイデンティティといった、その時々の世界情勢に呼応するテーマを投げかけてきた。

近年のジョナス作品の重要なキーワードとなる、女性、物語、環境問題などを辿る本展。なかでも代表作『Reanimation』は、インスタレーションとパフォーマンスのふたつのバージョンがあり、アイスランドの自然や神話をもとに、ドローイング、音響、過去の自作の映像断片などが織りなす迷宮的な作品だ。ジョナス自身の身体を埋め尽くすように絡まり合う要素が、“誤読”を含む多彩な解釈を鑑賞者に委ね、極めて今日的な物語構造をもたらす。昨年交わした会話の中で、「ひとつだけ言えることは、私の犬たちを含む動物の振る舞いから多くを学ぶわ」と、謎めいたコメントをさらりと残した。50年に及ぶ創作活動の中で、ジョナスが掴んだものを身体感覚で受け止めることのできる機会となりそうだ。

ジョーン・ジョナス『Five Rooms For Kyoto: 1972–2019』
会期:開催中~2020/2/2
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都・二条城前)
営)11時~19時
休)月(2020/1/13は開館)、12/29〜2020/1/3、14
入場無料 

●問い合わせ先:
tel:075-253-1509
http://gallery.kcua.ac.jp

※『フィガロジャポン』2020年2月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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