現代美術のスター6人の作品をあらためて味わう展覧会。

Culture 2020.07.30

国籍や文化を越えた、日本のアーティストの価値。

『STARS展 : 現代美術のスターたち―日本から世界へ』

art-00-1-200624.jpg

草間彌生『たくさんの愛のすばらしさ』2019年、有限会社ティーパーティー蔵。創作は症状を緩和する唯一の手段。帰国前後の作品は苦悩を滲ませ凄みがある。

art-00-2-200624.jpg

李禹煥『関係項』1969・82年。最小限から無限大の広がりを生む静謐な表現に自然と人間の関係性の原点がある。

アートシーンの中心は欧米にあり、アーティストは西洋美術史の文脈に基づいて評価される。これは、グローバル化により世界中から優れた作家が続々と現れる現在も、なお堅牢な事実だ。戦後日本の高度成長期以降に登場し、国境や文化の枠を越えて国際的に賞賛を得た「旗手」たちをあらためて紹介する本展。彼らの芸術が美術史の系譜にどう連なり価値づけられてきたか、その由縁を長きにわたる創作活動を通して総観する機会となりそうだ。

アニメやマンガの表現に日本美術の源流「スーパーフラット」を見いだした村上隆。反骨精神を抱えた辺境の弱者を象徴する、子どもや動物を描き続ける奈良美智。永劫に明滅し変化し続ける、デジタルカウンターのインスタレーションで知られる宮島達男。壮大な歴史観を凝縮する写真作品から建築や古典芸能まで領域を広げる杉本博司。そして、“生産”の意義を問い直す芸術運動「もの派」を理論と実践で牽引し、近年再評価が高まる李禹煥。未来社会への示唆に満ちた、禅の精神にも通じるその作品世界は「ウィズコロナ」の時代に何を問いかけるのか。

また、誰よりも苦悩と歓喜を味わってきたアーティストが草間彌生だ。単身渡航したニューヨークで挑発的な反戦パフォーマンスに身を投じ、幼少期からの幻覚や強迫観念を無限に反復する創作行為に投影してきた。純粋な創造欲求に支えられ世界で最も影響力のあるアーティストのひとりであり続けるその生きざまに刮目したい。

『STARS展 : 現代美術のスターたち―日本から世界へ』
会期:7/31〜2021/1/3
森美術館(東京・六本木)
営)10時~22時(火は~17時) ※入館は閉館時間の30分前まで。9/22(火・祝)、11/3(火・祝)は22:00まで  
無休 
料)一般¥2,000 ※入館は事前予約制です。専用オンラインサイトよりご購入ください。

●問い合わせ先:
tel:03-5777-8600(ハローダイヤル) 
www.mori.art.museum

【関連記事】
日本の美術館で初個展を行う、ヤン・ヴォーとは。
あの『睡蓮』も! モネとマティスの名作たちを箱根で。

内藤礼が初めて「創造」と向き合う、極上の空間。

※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。
●新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*『フィガロジャポン』2020年8月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories