5組の女性作家が切り取った、時代の「境界」を覗く写真展。

Culture 2021.02.09

この時代の「境界」に向き合う5組の女性作家。

『アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点』

目に見えない脅威に世界が揺さぶられた年を越え、新しい年の幕開けを飾るのは、「境界」をテーマにした5組の女性アーティストによる展覧会だ。

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アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ『Remodeling Shiseido Gallery edition』2020年。写真とテキストで女性像への多様な視点を投げかける。

アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイは、既存の広告を再構築することで女性、ファッション、消費に対する固定概念に介入するプロジェクトに取り組む。本展では、資生堂の広告をモチーフにした新作として大竹昭子氏によるショートストーリーも発表する。片山真理は、先天性の疾患により9歳の時に自分の意志で両足を切断した。唯一無二の身体を起点に社会や他者と繋がる彼女の作品は、世界に現に存在するさまざまな境界を超克する活力を与えてくれる。

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片山真理『Renaiss Hall #003』2016年。本展では、自身の二本指の左手を象ったオブジェと戯れるように撮影したシリーズを中心に。

また、過剰露光による白と黒のコントラストや印画紙上で重ねた、現実には存在しない空間を通して「見る」ことを問いかける春木麻衣子。ゲイ雑誌や彫像の裸体、ネット上のセルフィーなど、身体の表象のコラージュから「かつて当たり前であったはず」の境界を再編する細倉真弓。個人蔵書から図書館まで、本の佇まいからその背景や作家自身との関係性を示唆する『本の景色/BIBLIOTHECA』シリーズなど、長年にわたり写真家として活動する潮田登久子。

真摯な態度で創作に向き合う彼女たちの視点が、この時代に厳然とありながらも見過ごされてきた「境界」に、多様な視点を持つことを私たちに意識させてくれる、意欲的な展覧会になりそうだ。

『アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点』
会期:開催中~4/18 
資生堂ギャラリー(東京・銀座) 
営)11時~19時(日、祝は〜18時) 
休)月 
料)入場無料 

●問い合わせ先
tel:03-3572-3901
https://gallery.shiseido.com/jp

*『フィガロジャポン』2021年3月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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