【フィガロジャポン35周年企画】 花、うつわ、そしてパリ!1991年のフィガロジャポンを振り返る。

Culture 2025.03.19

パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が思い出たっぷりに振り返ります。1991年の様子をプレイバック!

1991年3月号(1月29日発売)011
パリはパリでもこの時代にフォーカス!

250318-011.jpg

パリカルチャーの中でも50年代のみにフォーカスした「50年代のパリ」特集。特集全体にモノクロ写真を用い、ジャズエイジ、カフェカルチャーなど、左岸が輝いていたムードを全面押し。90年代に活躍するクリエイターたちが語る50年代の魅力など、そのコメントは奥深い。また、フランス料理の基本のキを紹介するソースとクリームのABCレッスンなど、フランス発信のメディアとしての真骨頂をグルメでも。一方で、時短メイクを推奨したり、多芸多才なフィガロジャポン!

1991年4月号(2月28日発売)012
この言葉、ホントに流行らなかった......(涙)

250318-012.jpg

「ヌーベルブルジョワジー宣言」という巻頭特集を決行した......。日本でシロガネーゼが流行り出したのは90年代後半だったが、その先をきってフランスのリッチでクラスがあり、おしゃれな人にフォーカスしたのだけれど、この「ヌーベルブルジョワシー」という言葉、まったく流行らなかった!です。ただ、パリ暮らしの瀟洒な人々の記事はまだヨーロッパが憧れの時代、一部の読者を魅了。そして、資生堂のクレ・ド・ポーの専属クリエイターのステファン・マレのロングインタビューもおもしろい。まさに当時のメイクアップアーティストの中心だったのだから。

1991年5月号(3月29日発売)013
もう一度別冊付録パリガイド!

250318-013.jpg

創刊1周年記念号には、再びパリガイドの別冊付録付き。巻頭特集は「未来都市パリの素顔」。パリで大人気だったデザイナー高田賢三さんのお宅訪問で、素敵なインテリアを撮影したり、パリの行きつけの店を紹介してもらうゴージャスな企画も。当時、カラーリングや丸っこいボディで大人気だった日産の車フィガロのモニター募集には多くの応募があったそう。

1991年5月号(3月29日発売)別冊014 
創刊1周年で別冊発刊!

250318-014.jpg

創刊1周年記念号と同時発売された別冊。モードストーリー連投、イザベラ・ロッセリーニのロングインタビュー、そして、パトリック・デマルシェリエ(言わずもがな、『プラダを着た悪魔』の中でもメリル・ストリープの台詞に出てくる有名カメラマン)による、スーパーモデルたちのヌーディなポートレートまで。若い時のナオミ・キャンベル、クラウディア・シファー、タチアナ・パティッツ(塚本香元編集長が大好きだった記憶)、クリスティ・ターリントン、リンダ・エバンジェリスタまで! モードの在り方が、本当に畏敬を抱かれていた時代の産物です。

1991年6月号(4月27日発売)015
フィガロの結婚、ってオペラですもの。

250318-015.jpg

「特集・恋人よりも結婚 こんな結婚してみたい!」。すごいタイトルだ。ヨーロッパの王子さまたちが理想の女性像を語るなんて、本国が新聞社でなければできない企画。ウェディングのならわしや、パリジェンヌたちの婚約指輪を見せてもらったり、プライベートに踏み込む企画を追求していた。

1991年7月号(5月29日発売)016
南仏に行くとカラダが軽くなる。

250318-016.jpg

筆者は後に何度も南仏を訪れることになるが、フィガロジャポンは創刊間もない頃から何度もコートダジュールやプロヴァンスを特集していた。古い町並みはいまだ変わっていなくて、石造りのお家にノスタルジーを感じる。気候が素晴らしく、いくらワインを飲んでも酔わないからりと乾いた空気や、透明感のある光は南仏の宝。高級リゾートに宿泊すれば一日中ホテルから出ずに読書に時間を費やして癒やされる、そんな旅先の魅力を語る。第2特集で、「あなたは純愛ができますか?」という採点付きの記事があって、なんだか時代は変わっても、恋愛スタイルはゆっくりとしか進化しないと感じた。

1991年8月号(6月29日発売)017
花は究極のアールドゥヴィーヴル。

250318-017.jpg

巻頭特集は「8月の贅沢 花と暮らす」。フラワーアレンジだけでなく、フローラルプリントのリネンや家具なども紹介しながら、花との生活の愉しみ方を教えてくれる号。ドライフラワーの使い方や、フローラルノートのフレグランスも紹介している。当時からパリでは主流だったシャンペットル(田舎風)なアレンジを薦めていたのが新鮮。「『ベルサイユのばら』永遠に!」という中特集では、涼風真世さんと宮殿を訪れている。ベルばらとフィガロジャポンは切っても切れない深い縁だ。

1991年9月号(7月29日発売)018
モテていたのは、大人の男。

250318-018.jpg

「おとなの男が欲しい」、え? あなたが? 私が? それとも世間が? と戸惑ってしまいそうな挑発的なタイトル。ジェレミー・アイアンズにロングインタビューしているのだが、それ以外は、いい男友だちとは?など対談形式の記事が多い。当時は、大人の男性がモテていたのだ。

1991年10月号(8月29日発売)019
蝦名編集長がやってきた!

250318-019.jpg

もっとおしゃれに、もっとセンスアップ。「あの女(ひと)には、勝ちたい!」。これもすごいタイトルだ。ここから、マガジンハウスで数々の女性誌を手掛けてきた故・蝦名芳弘編集長が指揮を執ることに。その後、フィガロジャポンはぐん!と発展していく。ただ、当時毎日のようにロワールのテーブル用ハウスワインと、生ハムとチーズが夕方ふるまわれつつ、フィガロエディターたちは働いていた。こういう記事を作るなら、実践せねば!というフシギな大人の女性集団だった、筆者は20代のひよっこだったけれど。素敵な女性たちのルポ、そして素敵な外国人と友人になろうという誘いまであって、ちょっと浮遊感のある内容。

1991年10月5日発行 別冊020
なんとダイアナ妃の着せ替えが!

250318-020.jpg

わずか半年足らずの間に、もう1回別冊を発行。本当にモードが主役の時代であった。ファッション撮影のオンパレード、かつ、スーパーデザイナーたちのインタビューの数々。サンローランに関するロング特集。そして......「ダイアナ妃に捧げる、パリからのエスプリ。」という特集では着せ替えイラストまで(言葉では説明できない!)。衣装は6ブランド。シャネル、ディオール、サンローランまであります!

1991年11月号(9月29日発売)021
編集者は黒子であれ!に従い、モウレツに記事作り。

250318-021.jpg

蝦名編集長は「編集者は黒子であるべき」「若いうちはノンジャンルでいろんな特集を手がけよ」がポリシーだった。黒子徹底主義のため、この号から奥付もなくなった。「1泊2日のアヴァンチュール」という特集は、都市近郊に星を観に行こうとか、高級割烹にドライブで出かけようといった、おしゃれリッチ層への訴求。ただ、表紙にもあるように、ランジェリーの選び方からメイクアップまで、全方位でアヴァンチュールの準備のススメが紹介されている。そして、第2特集の本特集は、その後のフィガロジャポンが得意とするカルチャー特集の礎となった。

1991年12月号(10月29日発売)022
西欧のうつわブームにもしっかり乗った。

250318-022.jpg

「週末には、食卓の贅沢。」ファッションや美容だけじゃない、グルメも大事なアールドゥヴィーヴルと、フィガロは90年代から謳っていた。それもレストランガイドだけではない。むしろ自宅で作るヨーロピアン料理のレシピなどが中心。そして、ワインリストもしっかり掲載されていて、ワインというアールドゥヴィーヴルへの意識の高さを感じさせる。

1992年1月号(91年11月29日発売)023
90年代、美容の巻頭特集多し。

250318-023.jpg

サブメッセージに、「フィガロは新しい実験台」とある。確かに、ネガポジ反転みたいな写真が表紙で、「まるく痩せる!」という矛盾たっぷりのタイトル。しかし、これこそまさにウェルビーイングな考え方だ。単に痩せればいいのではない、ヘルシーに、おいしいものも食べて痩せなければパリジェンヌ的発想ではなくなってしまうから。心のシェイプアップが大事とまで書いてある。まさに断捨離なわけだ。

1992年2月号(91年12月28日発売)024
インテリア特集が鉄板企画に昇華。

250318-024.jpg

蝦名編集長体制になっていちばん変化したのはインテリアのジャンル。「ことしの目標! 美的に散らかす部屋づくり。」という斬新な特集タイトル然り。各章タイトルも、「アクセサリーは思いきって見せびらかす。」「ジャンクと本物の共存が、美的に見せるコツ。」「静物画のように、窓辺を散らかす。」など、ほんのちょっとの背伸びで手が届くおしゃれなインテリアを提案。フィガロジャポンが世間に浸透していくきっかけになった。なぜか後半で大阪の中特集がある。不思議だけど魅力的なフィガロジャポンに走り出した。

 

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

35th特設サイト
パリシティガイド
パリシック
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.