【フィガロジャポン35周年企画】 パリ20区、全てにふれた、フィガロジャポン2011年!
Culture 2026.02.17
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2011年に発売したすべての号をプレイバック!
2011年3月号(11年1月20日発売)417
当時、おしゃれ2派でした、確かに。

確かに、可愛いロマンティック派と、クールなマニッシュ派、両方にフィガロジャポン編集部内はしっかり分かれていた。どんなにトレンドが偏ったところで、自身のスタイルがあれば妥協できるわけないのだから。ということで決まったような記憶、今号の巻頭は、リザ・ローズがシャネルを纏った長谷川京子氏を撮影したロマンティックなモードストーリーも。綴じ込み旅ガイドでは、シンガポールにフォーカス。この特集でプラナカン文化を知った。シンガポールはその後訪れてみて非常に素晴らしい旅先であることがわかった。特に、バーと動物園が好きな人にとっては。
2011年4月号(11年2月20日発売)418
開運旅は場が盛り上がる。

「買うこと、買わせること」に注力したファッション巻頭特集。とにかく細かい! でもアクティブなムード。モードストーリーでは、ファンタジスタ菊地愛氏が更井マリ氏に撮影をお願いしたミュウミュウのテーマが素晴らしかった。日帰り開運旅の綴じ込み企画を参考に、筆者も出かけた。静謐な神社仏閣の写真は美しくて、近くに温泉やおいしいものなどあって、ちょうどいい大人の休日だ。
2011年5月号(11年3月19日発売)419
紙の手配が間に合って。

忘れられないパリ特集になったのは、東日本大震災のためでもある。印刷の直前に大地震が起き、当時の製作部門が紙の手配を分散していたためにどうにか予定部数を刷ることができた。20区それぞれのパリの魅力を紹介するという内容で、テーマを20考えなければいけないのがとってもキツかったが、作っている間はとても楽しかった。パリの百貨店ボンマルシェ、プランタン、ギャルリー・ラファイエットを徹底深堀する企画などもあったりし、パリ特集「史」に残る名作と思っている。
2011年6月号(11年4月20日発売)420
海をカバーにするかどうか?

タイ取材へは、現在フリーランスエディターの小長谷奈都子氏と、現デジタル編集長のAIが飛んだ。まさに3.11の時、AIはまだタイにいた。地震に加えて津波という大惨事が起きても、働き続ける、そのことを向き合う時に作っていたのがこの号だ。海が表紙で人々の心を傷つけないか、ももちろん検討された。チェンマイのガイドがあり、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督におすすめスポットを教えていただき、そのギャラリーでカメラマンの伊藤徹也氏は象の絵画を買った。「春夏ドレスブック」企画では、愛甲まみ氏が伊藤彰紀氏と撮影した扉の黄色い花畑に紫のドレスのモデルが立つ写真を見てくらっとするほど素敵でインスパイアされた。美容テーマは見事なタイトルーーー「B面美容徹底講座」。背面の美を作るメソッドだ。
2011年7月号(11年5月20日発売)421
カラフルなエリザ・ナリン。

表紙は自身の子どもと写るエリザ・ナリン。イタリア出身でパリで活躍するスタイリストで、おしゃれスナップの常連だった。筆者も彼女のスタイリングが好きだった。カラフルであることと、大胆な甘さがある。大人がぎりぎりできるスイートなコーディネート、というのが好みだ。彼女はもちろんキッチンもカラフル! グリーンのテーブル×赤い椅子だった。高校の同級生でもある料理家平野由希子氏の料理道具が紹介された記事もあって、懐かしさひとしお。
2011年8月号(11年6月20日発売)422
ロンドンが近い掲載。

つい半年前くらいに可愛いロンドン特集を決行し、その号の評判がよかったせいか。はたまた、レストランがまるごと紹介せずに残っているせいか。ロンドンを全マップも付けつつ敢行した。あ、いちばんの理由は、ちょうどキャサリン妃とウイリアム王子の4月の結婚によって、人々の関心が英国に集まったからか。マカロン色のカップケーキが世界を席巻した時代だ。美容は「オーガニックコスメ博覧会。」 ロハスではなくオーガニック、という言い方がもう一度市民権を手に入れてきた。
2011年9月号(11年7月20日発売)423
ファッションウィークのルックをどう見せる。

コレクションルックの見せ方も、毎回やっていると「これでいのか?」と疑問に感じるのは当然。それゆえに、新しいシーズンのファッション撮影と意図的にミックスする展開を狙った号。ベストやマスト、というワードも西村編集長好みだった気がする。そして南仏ヴァカンス綴じ込み企画を手掛けたおは、OGの安田薫子氏。渡仏してからも毎回、フィガロのパリ特集などを担当してくれた。サントロペとニースとアンティーブ。まさにカンヌ国際映画祭と密接な町だ。
2011年10月号(11年8月20日発売)424
私らしくの前に来た「ヒロイン」

昨今(2020年代)は「私らしさ」を追求する時代だが、その前夜、自分らしくというキーワードの前は、「私が自分の人生の主人公」というムードがあった。ちょっぴり現在よりも気張った感じ。それをシネマとがっちゃんこして、パリジェンヌ風、スパイ風、レディ風と、なりたい自分のファッションを選ぶ参考に、というメッセージ。同号掲載にメラニー・ロランやマリオン・コティヤールという軸があり、国際的にも活動するフランス人俳優を紹介しているので、そういう観点からも自分を生きる道推しの号である。うつわ探しの旅特集がまた掲載され、空間までも自分色にきちんと染める大人女子をクリエイト。
2011年11月号(11年9月20日発売)425
イタリア3都市全マップも!

今号のマップは非常に苦労した思い出だ。人員が少し減っているなか、マップを面倒がらずにやれる人材は少なく、筆者はジョーカーを抜くようにマップに当たった。フィレンツェが特に難儀で、休日もずっと確認していた記憶だ。巻頭が旅ガイドだから、ファッションも旅先であるイタリアにちなんだテーマで。中川十内氏が撮ったニュアンスいっぱいのイタリアメゾンたちは奥行がある。そしてマニッシュモードを手掛けてくれた飯田珠緒氏のスタイリングが超絶に可愛い。
2011年12月号(11年10月20日発売)426
もう一度、クリエイターがえり。

クリエイターに優位性を見出して紹介していく、いち時代があったが、この号は久しぶりにそれにトライ。かつては有名なファッションメゾンのデザイナーなどがお家自慢をしてくれたが、だんだんそういうことがしにくい雰囲気になっていった。筋肉にフォーカスした美容特集は有元えり氏が担当したはず。バレエ好きゆえ、吉田都氏に登場してもらい、女性らしさのある美ボディつくりを指南してもらった。筆者は7月のクチュールの時期にパリへ出張し、写真家カミーユ・ヴィヴィエ氏とシャネルの宝飾を撮影。その出張は、いまは亡き松山ユキ氏と、某女性誌編集長HA氏と一緒だった。懐かしい思い出である。
2012年1月号(11年11月19日発売)427
もう、ベストっきゃない!

以前の号でもコメント書いたが、西村編集長は「ベストXX」が好きだった。そうしたら、この号はまるごと1冊ベストを狙え!であった。もちろんベストコスメ企画もある号だ。ベストルック、ベストアイコン、ベストおしゃれスナップなど、ナンバーワンは気になりますよね! そしてここから始まったのだろうか、石井ゆかり氏の袋綴じ占い。袋綴じって大衆男性週刊誌のイメージがあるが、あえてそれを「読みたい私の運勢!」という読者に対してアピールしてみた。ジュエリー特集はリングだけにフォーカス。「私らしさ」が流行り始めると、自分でいつも見られる場所に身に着けるジュエリーが気になるのかもしれない。
2012年2月号(11年12月20日発売)428
ヴィム・ヴェンダースにインタビュー。

ヴィム・ヴェンダース監督へのインタビューは何度もしていて、何度も会っている。本号で特別なのは彼のような作家主義のミニシアターの雄が、3Dの手法を使って故ピナ・バウシュのドキュメンタリーを作ったからだ。3Dには若干疑問を抱いていた時期でもあったので、本作『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』 を観た際は、すごく意義深かった。「心が動く」ということをテーマに、本と映画を選ぶ。それはとても意義深い内容だった。担当者たちはみんな苦労しながらも学び大きい号だった。新春きもののテーマでは、宮沢りえ氏が登場。「本来のきものの所作ではないことに挑戦した」と語ってくれているが、その言葉どおりとても艶やかで唯一無二なきもの撮影だったと思う。付録に赤尾正則氏が撮影した犬カレンダーが付いている。フレンチブルドッグが愛らしい。
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