時代の気分を映す、ハイブランドの広告キャンペーンに注目!
Culture 2016.01.28
トレンドの最先端をいくハイブランドの広告キャンペーンは、シーズンを代表するルックを紹介する役割だけでなく、時代そのものの気分を表現するアート作品。いまをときめくモデルやセレブリティ、著名フォトグラファーの起用や、デザイナーのクリエイションの一部となる背景へのこだわりなど、その舞台裏を知れば、1枚の画像に込められたクリエイターの想い、いまのモードやカルチャーシーン、時代性などに触れられる。そこでフィガロが気になる4つの広告キャンペーンをピックアップ!
今回も3部作で構成される2016 春夏広告キャンペーン「SERIES 4」。なかでもすでに大きな話題になっているのは、日本のビデオゲーム、アニメのスクウェア・エニックスが手がけた作品。昨年の大ヒット作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のヒロイン、フュリオサに通じるような、人々の共感を得る、戦うヒロインの象徴として、あの「ファイナルファンタジー」シリーズのヒロイン、ライトニングが今季のキールックに身を包み、圧倒的な存在感で見る人を惹きつける。
「ビデオゲームのバーチャルな美は、このコレクションにおいて重要な存在です。......ライトニングは、グローバル、勇敢な女性、そして生活の中でソーシャルなネットワークとコミュニケーションがシームレスに張り巡らされた世界を体現する完璧なキャラクターです。......ライトニングは表現の新しい時代の到来を告げる存在なのです」とニコラ・ジェスキエール。一方、ライトニングも「ルイ・ヴィトンは私を新しい"ファンタジー"へ導いてくれた。この体験を、心から楽しみたい」とコメントを発表。
アレッサンドロ・ミケーレのクリエイティブ・ディレクター就任により、グッチの新時代が幕を開けた昨年。広告キャンペーンの舞台は前回のLAからベルリンへ。シーズンごとに異なる都市へ向かう試みは、広告ビジュアルのシーズンを超えた対話、そしてコレクションを通じて紡ぎ出される継続的なストーリーを生み出す。つまり、流行やシーズンテーマが変わっても、ヴィンテージライク、ロマンティシズムといった、すでにアレッサンドロ・ミケーレが築き上げた新生グッチのDNAが脈々と息づいた新しいワードローブとともに旅を続けているかのような感覚を呼び起こす。
ドイツの80年代のポップカルチャーにおけるビジュアルランゲージと美意識にインスピレーションを得た今季の広告キャンペーン。ベルリンがもつ芸術的でデカダントな雰囲気は、自由奔放な快楽主義を謳歌する、グッチをまとったフレッシュなモデルたちが主演の物語の舞台にぴったりだ。
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トレンドのエスニックを牽引するヴァレンティノは、今季、アフリカのトライバルな民族衣装やモチーフからインスピレーションを受けた。広告キャンペーンの撮影地に選んだのもケニアのアンボセリ国立公園。フォトグラファーには、きっと誰もが一度は目にしたことがあるポートレート写真『アフガニスタンの少女』や『ナショナルジオグラフィック』誌のルポルタージュなどで高い評価を受けている、フォトジャーナリストのスティーブ・マッカリー。彼のレンズはアフリカの風景の中で、マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリが手がけたクリエイションをエネルギッシュに、ありのままの姿でありながら幻想的に捉えている。
この広告キャンペーンに込められたメッセージは、アフリカや異文化との相互理解をテーマに、新しい美意識や倫理を受け入れる創造の必要性。難民問題に直面するイタリアに拠点を置くマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリが、おそらく日々実感している、「多様性を受け入れる」という想い。彼らは「衣服は概念を主張する手段となる力があり、ファッションは新しい需要を表現する務めがあると私たちは強く信じています」と語る。多様性の認識を促すのは、「美」であり、それがヴァレンティノの使命でもあるかのように。
モードとアートは、もはや切っても切れない関係。それを代表するのが、毎シーズン、<アート・オブ・コラボレーション>と題して、さまざまな著名フォトグラファーとクリエイティブ・ディレクターのトーマス・マイヤーとのコラボレーション作品となっているボッテガ・ヴェネタの広告キャンペーン。2016年の春夏は、オランダ人フォトグラファーのヴィヴィアン・サッセンとタッグを組んだ。
撮影場所は、オランダ、オッテルローのクレラー・ミュラー美術館にある彫刻庭園に設置されたジャン・デュビュッフェの作品"Jardine d'email"前。純白の舞台が無秩序に広がるこのインスタレーションは、ボッテガ・ヴェネタの今季のテーマとなっている、アウトドアライフと自然環境の賛美、自然界の色にエネルギーや個性を携えたコレクションの精神をとらえている。モデルには、人気急上昇中のミカ・アルガナラズを起用。あえて不自然な姿勢でポーズをとり、撮影場所にふさわしい生きた彫刻に扮している。サッセンが得意とする屋外での撮影で、色や質感、コントラストに重点を置くことで、力強い作品に仕上げた。「サッセンの作品は美しく、同時に謎めいています。彼女の作り出すイメージや雰囲気、独特の神秘的な感覚には、引き込まれずにいられません。大胆に実験するところや、ルールを破りながらも自分のバランスを失わないところが本当にすばらしい」とトーマス・マイヤーも絶賛。
撮影の様子を記録したドキュメンタリービデオ。
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ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
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