英国で活躍するプリンシパル、ツァオ・チーが、
映画『小さな村の小さなダンサー』に主演。(MOVIE)

Culture 2010.08.10

中国の小さな村で生まれ、アメリカに亡命して活躍したダンサー、リー・ツンシン。彼の半生の実話をもとにした映画『小さな村の小さなダンサー』がこの夏、公開される。

0806news_1.jpgオーストラリアで大ベストセラーになった、リー・ツンシン自伝『小さな村の小さなダンサー』を映画化した作品。
©Last Dancer Pty Ltd and Screen Australia

毛沢東の文化政策による英才教育で、バレエの道を歩むことになったリーは、研修で訪れたアメリカで才能を認められる。生まれ育った母国とは違う、自由な環境のなかで夢を抱くようになるが――。

主人公リー・ツンシンを演じたのは、自身が中国出身でいま英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルとして活躍する曹馳(ツァオ・チー)。この作品で鮮烈な映画デビューを果たし、2011年にはカンパニーの来日公演も予定されている。そんな彼に、映画撮影のエピソード、そして来日公演について、語ってもらった。

0806news_1b.JPGリーの青年時代をツァオ・チー(右)が演じる。
©Last Dancer Pty Ltd and Screen Australia

0806news_2.jpgリーは、怪我をしたダンサーの代役で『ドン・キホーテ』を踊り、喝采を浴びる。
©Last Dancer Pty Ltd and Screen Australia



――初めて映画主演の話を聞いたときはどう感じましたか?

「ありえない!と思いました(笑)。実現はしないだろう、と。でも、ほんとうに運命的な出会いだったと思います。製作スタッフには、僕に出会えたことで、映画のなかで特にダンスシーンを自伝に忠実に描けたと言っていただいたんです。この作品の映画化のタイミングで自分が現役のダンサーであったことに、縁を感じます」

――ツァオさんはリーさんと同じ北京舞踊学院の出身でもありますね。彼の行動や言葉のなかで、もっとも共感した点は?

「すべてです。僕も15歳のときにイギリスに渡りました。もちろん、リーさんのような形で国を脱出したわけではないけれど、いつ中国に戻れるかわからない。そしていちど戻ったら、再びイギリスに来るのが難しくなることはわかっていた。そうなると自分のバレエのキャリアがどうなるかわからない。もちろん時代的に、二度と家族に会えない覚悟で国を出たリーさんほどドラマティックではなくても、中国から出るということ、いつ戻れるかという不安――すべてにおいて共感できます」

――ほかのカンパニーのダンサーとの共演で、何かエピソードがあれば教えてください。

「エリザベス(リーの恋人)役のアマンダ・シュルは、バレエ団在籍中に映画『センターステージ』(2000年)に主演していたんです。バレエを志す若者たちを描いた作品。僕はこの作品を観ていたので、彼女を初めて紹介されたときに、映画に出るのってどう?といろいろ聞いたんです。あまりにも質問攻めだったので、うんざりされてしまったくらい(笑)」

――映画のなかで、オーストラリア・バレエ団のレパートリーであるグレアム・マーフィー版『白鳥の湖』を踊られていますが、初めてだったのでしょうか?

はい、実際にこの作品を観るのも初めてでした。間に合わない、これは踊れない、と思いました(笑)。技術的に難しい振付で、リハーサル期間も短かったので。でも、振付のマーフィーさんも現場に来てくださいましたし、踊った経験のあるダンサーたちからもいろいろ話を聞くことができ、助けてもらいました。難しい振付も、ちょっとしたコツをつかむとできるようになることがある。そのコツを伝授してくれる、その振りを踊ったことのあるダンサーがいたことがとても重要でした。

0806news_3.jpgグレアム・マーフィー版『白鳥の湖』。オーストラリア・バレエ団の芸術監督がこの映画に全面協力したほか、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団や香港バレエ団などの協力を得て、数々の美しいダンスシーンが実現した。
©Last Dancer Pty Ltd and Screen Australia


――来年の英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団来日公演について、決まっている範囲で教えてください。

ピーター・ライト版『眠れる森の美女』、フレデリック・アシュトン振付の『真夏の夜の夢』と『ダフニスとクロエ』の3作品を上演します。3作品とも、プリンシパルとして踊ったことがあるので、どの演目に配役されるかは未定です。もしかすると3作品とも踊るということもあるかもしれません。

0806news_4rgb_new.jpg英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』に主演するツァオ・チー。
©Bill Cooper


――figaro.jp読者へのメッセージをお願いします。






スクリーンで、ダイナミックなダンスと、寡黙ななかに情熱を秘めた演技を見せてくれるツァオ・チー。素顔はとても流暢に英語を話す、気さくで爽やかな好青年。彼のダンスを生で見られる2011年の来日公演も、ぜひチェックしたい。


『小さな村の小さなダンサー』

●監督/ブルース・ベレスフォード
●2009年、オーストラリア映画
●117分
●配給/ヘキサゴン
●8月28日より、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにて公開。
http://www.chiisanadancer.com



英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
『眠れる森の美女』/『真夏の夜の夢』『ダフニスとクロエ』

●2011年5月下旬
*2010年12月上旬前売り開始予定
問い合わせ先:NBS Tel 03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp


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