Culture 連載
きょうもシネマ日和
フランスで大ヒット!ヴァネッサ・パラディの魅力溢れる
小粋なラブコメディ『ハートブレイカー』
きょうもシネマ日和
フランスで公開から3カ月で400万人も観たという話題の作品がついに公開された。
もし、本作がそこまでヒットしていなくたって、私は必ず本作を観に映画館へ足を運んだだろう。だって、大好きなヴァネッサ・パラディが出ているんだもの。かつて、何度「ビー・マイ・ベイビー」を聞いたことか。彼女が出演している映画もよく観ていた。
フランス・ギャルほどロリータ過ぎず、ジェーン・バーキンほどか細い感じがせず、ブリジッド・バルドーみたいに官能的でもなくて、ファッションもシンプルなんだけどかっこよくて、ちょっと猫っぽくて、なんていうか日本人の私にとって、ちょっと手の届きそうな(絶対ムリだけど!)理想的な憧れのアイコンだった。
その後、ジョニー・デップと結婚し2児の母となってからは、なかなか彼女の活躍に触れる機会が減ってしまった。そんな彼女がこの度、スクリーンに戻ってきてくれたのだ。しかも、共演者がロマン・デュリス。日本でもファンの多い、今やフランスを代表する実力派俳優だ。
■本作のストーリー
「別れさせ屋」を職業とするアレックス(ロマン・デュリス)は、不幸な女性をターゲットに相手の男と別れさせ、依頼主から報酬を受け取るという日々を送っている。姉夫婦との連携プレーと彼のテクニックでどんなオファーもそつなくこなす、女性なら誰もが彼に恋に落ち、相手の男とすぐに別れてしまう。そんな折、新しい案件が。モナコにいるイギリス人青年実業家(アンドリュー・リンカーン)とジュリエット(ヴァネッサ・パラディ)の婚約を解消させるよう依頼が来たのだ。アレックスは早速モナコに向かうが、標的であるジュリエットは、これまでの女性のようにはいかなかった・・・果たして、アレックスはどんな行動にでるのか?ジュリエットの未来は?
アレックス(ロマン・デュリス)のポリシーは決してターゲットの女性に深入りしないこと。真実に気づかせてあげるだけで十分のはずだった・・・。
本作でヴァネッサは、リッチな父親を持つ、ワインが好きで仕事にも有能な令嬢役を演じている。シャネルのイメージモデルも務める彼女にはぴったりの役で、美しい刺繍の入った柔らかな生地のネグリジェ(私が着ると大福かマシュマロに間違えられそう)や、黄色いタイトなワンピース(私ならバナナ)、シルバーのスパンコールが胸元に散りばめられたシックなドレス(私ならLEDライト・・・)と、さまざまなファッションで私たちを楽しませてくれる。
ホテルに宿泊中のネグリジェ姿のヴァネッサ・パラディ。相変わらず美しい・・・。
「私はあなたのお父さんから雇われたボディガードです」とジュリエットに近づくアレックス。
そして、もうひとつウットリさせてくれるのが、モナコの美しい光景。
モナコの四ツ星リゾートホテル、モンテカルロ・ベイホテル&リゾート、モンテカルロ・オペラ座など、「あ~、ここ行ったことある!」なんて決して言えないゴージャスな場所や、最高級リゾート地であるモナコならではの美しい街並みが本作をより一層盛り上げてくれる。
■アレックスとジュリエットの未来はいかに?
しかし、いちばんの見どころはやはり、ヴァネッサとデュリスの共演である。アレックスは何度かジュリエットの心の隙に入ろうと、事前に調べておいた彼女の好きな歌手のジョージ・マイケルをかけたり、映画『ダーティ・ダンシング』のダンスシーンを猛特訓して、まるで自分も大好きかのように振る舞う。・・・そう、女っていうのは、「私が好きなものを、アノ人も好きだなんて・・・」と、そんな事に運命を感じてしまう浅はかな生き物なのです。そのほかにも仲間の姉夫婦と一緒に、あの手この手でジュリエットに近づこうとする、そのやり口がとにかく面白い(笑)。
しかし、事態はあっけらかんと笑っている場合ではなくなり・・・。おそらく皆さんも薄々気づいていると思うけれど、そう、アレックスの心がかき乱されてゆく。ビジネスに私情は入れないはずなのに・・・。
結末については、もちろん映画館でのお楽しみ(笑)。
実はアレックスは借金取りに追われている。こんなシーンですらモナコの風景が美しい(笑)。
©2010 YUME-QUAD FILMS / SCRIPT ASSOCIES / UNIVERSAL PICTURES / INTERNATIONAL / CHAOCORP
本作では、ヴァネッサが車の中でお気に入りの歌をそーっと口ずさむシーンに、歌手としての彼女を垣間見ることができるし、ロマン・デュリスとのダンスシーンも本当にロマンティック。何より、当時と変わらず可愛くて、それでいて大人の女性の美しさを兼ね備えた彼女をスクリーンでずっと眺めていられるのが、個人的にはとてもうれしかった。
は~、それにしても女は迷ってしまうのよね。経済的に安定し、人柄も穏やかな青年実業家と、お金はないけど、男としての魅力に溢れて、いるだけで刺激的な人。これって、世界共通、永遠のテーマなんだわ、きっと。
そんな両方の男ふたりを虜にするヴァネッサ・パラディの魅力にぜひ、触れて、そしてくすくす笑いながら素敵なラブストーリーに、身を委ねてみて。
●監督/パスカル・ショメイユ
●出演/ヴァネッサ・パラディ、ロマン・デュリス、ジュリー・フェリエ、フランソワ・ダミアン
●2010年、フランス=モナコ合作映画
●配給/熱帯美術館
●105分
ヒューマントラストシネマ 有楽町(Tel. 03-6259-8608)ほかにて公開中。
http://heartbreaker.jp/