接近! 東京ミレニアルズ 映画界のホープ、高校生、役者・清水尋也。

Culture 2017.07.21

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これからの世代を担うミレニアルズが多く登場している、本日発売のフィガロジャポン9月号。その『輝く、東京ミレニアルズ。』企画のトップを飾るのは、俳優・清水尋也。彼は、中島哲也監督の人気作『渇き。』(2014年)で壮絶ないじめにあう“ボク”役で衝撃的な演技を披露し、注目を集めた。続く成島出監督の『ソロモンの偽証』(15年)では、真逆の不良・大出俊次役を堂々とド正面から演じきり、『ストレイヤーズ・クロニクル』(15年)の良介、『ちはやふる』(16年)の須藤暁人と、さまざまな役を自分のものにしてきた。清水はいったい、どれだけの人物になれるのだろうか。

演じるとは、自分という液体を捨てること。

「(これまでの演技の感想を受けて)ありがとうございます。でも、僕の感覚としては少し違うんです。なるというよりは、どんな時も清水尋也という人格しかなくて、役というのは、語弊を恐れずいうならハッタリだと思っていて。僕が真実=役の人物になるのは不可能だから、その真実にどれだけ近づけているかで上手いかがわかるし、もちろん見ている人に役が清水に見えたらいけないわけで。演技はハッタリとリアルの境界線に近づけ、限りなく寄せていく作業。だから、前提として人に嘘をついているという自覚を持っていようと思う」

 

 さらに清水は、「演じる役を見つめる客観的な自分自身の目を持つからこそ、アドリブがうまれるんですよね」と芝居の醍醐味を語り、どこまでも冷静でロジカル。彼の役作りは、実におもしろい。そして彼は、「自分はスポンジ」なのだという。

「いつもは空のスポンジに清水尋也が染み込んでいて、何かを演じるたびに中身を一回捨てる。空っぽになるまで。自分の人格が飽和状態で染み込んでいるから、一回出すしかないと思っちゃう。それから真面目で根暗な奴なのか、手のつけられないヤンキーなのか、役という液体を吸うんです。自分に近い役といっても、結局は育った環境や人間関係が違うから、自分のそれを引っ張ってくると飲み込めなくなるんですよ」

 

 そこで立ち返るのは台本。文言の中から基本情報を読み取って、それこそ身長や体重や振る舞いをイメージする。外見的な型ができたら、その中に詰める性格や感情を作るのだ。

「セリフのあるシーンを読み込んで、『ここはこう感じてこう言ってるんだ』『こう思ったからこう返している』と読解して、思考や感情の変化を捉える。これを結んで行くとその人が出来上がっていく。やっている時は特に考え込んでいるわけではないけど、思い返すとそうしているのかなって」

 

ナルシシズムの先にある、成熟と夢。

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撮影は6月。蒸し暑い渋谷、センター街にて。ファンタジックでレトロなグッチの最新ルックを着こなす。

 独自の演技論を語る間、清水はすごく生き生きしている。決して控えめではないけど、そこには芝居への真摯な気持ちや作品へのリスペクトが見て取れるのだ。そんな話が出ると、照れ隠しのためか「でもいちばんのモチベーションはカリスマになりたいから」とはにかんだり。

「俳優って、過剰ではなくてもナルシシズムは必要で、自分がいちばん、自分は芝居がうまいという自信がないといけなくて。『渇き。』と『ソロモンの偽証』は近い時期に撮影をしていて、笑っちゃうくらい正反対でやりがいはあったけど、少し大変だった。でもこれを完璧にやったら、最高じゃんって(笑)。自己満足と負けず嫌いな性格を抱えながら、この絶好の機会に両極端の役を演じられることを世の中に提示できれば、みんな認めてくれると考えたし、その結果、演技について評価してくれる声が聞けてうれしかった。それを経て、やっぱり、僕には芝居しかないと思った」

 

「目指す俳優は?」と尋ねると、「窪塚洋介さんや染谷将太さんといった、その世代にひとりしかいない唯一無二の存在。よく“同世代”というくくりでひとつ上の世代の人たちと一緒に紹介されることがあるんです。それって、演技が上手な先輩の土俵に入れてもらえてるのかなと、これまたうれしくなったりします(笑)」
本誌で清水を撮影した写真家・鈴木親は、若い役者たちと交流を深め、影響を与えて来た人物。彼曰く「染谷(将太)くんもそうだった。彼はなぜか同じ世代に含まれず、むしろ同じ世代の人を引っ張っていく存在。一段上に行ったのなら、他の人ができないことができるし、やらないといけないんだよ」。そう、いま、数多くの人々が彼の活躍に期待を寄せている。現在公開中の映画『逆光の頃』で、スポンジを空っぽにして演じるのは清々しい好青年役。彼の新しい一面を見られる。

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清水尋也に、17問17答!

・好きなアプリ:Netflix

・好きなアーティスト:Wiz Khalifa、KANDYTOWN、YENTOWN。「(洋楽、邦楽問わず)ヒップホップ全般が好きです」

・好きな映画:『ユージュアル・サスペクツ』(1996年)、『メリーに首ったけ』(98年)。「キャメロン・ディアスがかわいくて……目の保養です」

・自分のクセ:ベロを出す。「集中すると出てるみたいです」

・右ポケットに入っているもの:イヤホン

・好きな駅:渋谷。「洋服屋さんによく行きます」

・いまの仕事を志した年齢:12歳。「兄が出演した映画の試写会でスカウトされたのがきっかけ」

・ウィークポイント:くすぐられること、虫。

・好きな犬と猫の種類:ダックスフント、マンチカン。「足が短い動物が好き」

・週末に食べたいもの:マクドナルドなどのファストフード。「友達と出かける時食べに行きます」

・寝るときの格好:パンツ一枚のみ。

・好きな香水・香り:カルバンクライン「CK one」。すれ違いざまに香る女性の髪の毛。

・睡眠時間(オン/オフ):「オンもオフかあまり変わらないけど、だいたい深夜3〜4時に寝ます。基本10時間は寝たいけど」

・最近のスランプ:「新しい作品に向けて、役作りを少し悩んでいて。試行錯誤している時期がありました」

・最近泣いた出来事:必死に何かを情熱を注いでいる瞬間を見た時。「ここ一年くらいで涙もろくなっていて、この間MVPを獲ったバスケットボール選手がお母さんに贈る言葉に泣けました」

・いつもバッグに入っているもの:バッグはあまり持たず、持って出かけるのは、携帯と財布のみ。「仕事にいく時は、台本も」

・SMSやLINEでよく使う言葉:(<_<) ←「この顔文字。『それな』という意味だったり、なんでも使えます(笑)」

・好きな飲み物:ドクターペッパー。「ドクターペッパーに対する愛は誰にも負けない! そのくらい好き。どの自動販売機で買えるかも把握してます」

しみずひろや
1999年、東京都生まれの18歳。2014年に公開された『渇き。』でいじめにあう生徒役を演じ話題を呼び、さらに続く翌年の『ソロモンの偽証』で不良役を全うしたことで、類稀なる演技力を見せつけた。現在公開中の映画『逆光の頃』に出演中。
ジャケット ¥394,200、ニット ¥124,200、シャツ ¥88,560、パンツ ¥129,600、ベルト ¥185,760、人差し指のリング ¥57,240、中指のリング ¥56,160、薬指のリング ¥44,280、シューズ ¥177,120/以上グッチ(グッチ ジャパン)

グッチ ジャパン カスタマーサービス
0120-88-1921(フリーダイヤル)

texte : HISAMOTO CHIKARAISHI, photos : CHIKASHI SUZUKI, stylisme : MASATAKA HATTORI, coiffure : HORI (BE NATURAL), maquillage : MAKIKO ENDO (UM)

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