いくつもの顔を持つ、エルメスウーマンという万華鏡。
Fashion 2016.09.20
2016年、9月、北京。
プレタポルテ、ジュエリー、小物の展示、ダンスやライヴパフォーマンスなど、さまざまなプレゼンテーションでエルメスの現代の女性像を紹介するイベント「the View from Her」が開催された。
エルメスのウィメンズ・ユニバースのアーティスティック・ディレクター、バリ・バレがてがける、女性の世界観を多角的に表現したスペシャルなイベントだ。
レディスプレタポルテのアーティスティック・ディレクターであるナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキー、靴やジュエリーをデザインするピエール・アルディらのクリエイションはもちろん、アメリカの舞踏家であり振付師であるルシンダ・チャイルズによるダンス、作家ポール・オースターの娘であるソフィー・オースターのライヴ、と、多彩な角度からエルメスウーマンの世界を表現。その素晴らしい一夜をパリ在住のイラストレーター、プリュンヌによるイラストとともにレポートします。
アーシーかつ艶やかなオレンジ色に彩られた入り口を進んでいくと、まず現れるのが、「Vision Room」。
展示やプレゼンテーションは、11もの部屋に分かれて紹介され、エルメスの虫眼鏡をモチーフにした画面に各部屋の映像がイントロダクション的に映し出されて。
会場内では、ケータリングとともにドリンクもサーブされた。バーカウンターでは、新作のバングルやグローブを付けたアーム部分だけが見える演出でシャンパンがサーブされた。
メタルスタッズで飾られたバーカウンター。
今回、もっとも感激したプレゼンテーションが、ルシンダ・チャイルズ演出によるバレエのショー「Ensemble for Nine Dresses」。秋冬コレクションで発表されたバイアスカットのドレスからインスパイアされたというオリジナルのパフォーマンスは、ビデオ映像とリアルなダンサーの動きが万華鏡のように融合。
ルシンダ・チャイルズは、ニューヨーク生まれの舞踏家であり振付師。ミニマリスムスタイルをダンスに取り入れたコンテンポラリーなスタイルに定評がある。
凛とした力強さ、流れるような軽やかさ、全身からみなぎる喜び、ときに立ち止まって見つめ直す内なる悲しみ……女性にはいくつもの顔がある。すべてを受け止めて、前へ進む。そんな包み込むような優しさに溢れたショーだった。
次のページでは、写真とともにイベントの全貌をご紹介します。
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北京民生現代美術館が一夜だけエルメスワールドへと変貌。
入り口を抜けると、オレンジ、グリーン、イエローと、さまざまな色壁に分けられた小部屋が広がる。
グラフィカルな映像とともに10枚のスカーフが紹介された「Hypnotic Square」
チョークのような留め具の新作バッグ〝バトン・ド・クレ″
「Studs in Space」と呼ばれるコーナーには、秋冬コレクションのメタルスタッズのアクセサリーやプレタポルテが展示されて。
ソフィー・オースターによるライヴパフォーマンスも。ソフィーは、アメリカの人気作家ポール・オースターの娘。
こちらもルシンダ・チャイルズ演出による、〝パルム・ロワイヤル″プリントを用いたパフォーマンス。
エルメスのルーツでもある乗馬をテーマに、靴やバッグなどの小物が納屋のような部屋にディスプレーされた「Throughbred」ルーム。
ほか、ゲームコーナーやフォトブースなど、楽しい仕掛けが満載。小さなエルメスヴィラージュのような空間を巡ることで、エルメスウーマンの多彩な顔に触れ、ポジティブかつファンタジーな気持ちに包まれた一夜だった。
最後に動画にて「the View from Her」の世界をご覧ください。
illustrations:PRUNE CIRELLI